2016 Fiscal Year Annual Research Report
癌診断と抗癌治療のための自己組織化スイッチオン・ナノ・プローブの開発
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16F16044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浜地 格 京都大学, 工学研究科, 教授 (90202259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIANG YANYAN 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-07-27 – 2018-03-31
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Keywords | 自己組織化 / ナノプローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質は生体内で極めて多くの機能を果たしているため、その構造や機能の分子レベルでの精密解析は、基礎研究としてとても重要である。また多くのタンパク質の機能不全や構造変性が様々な疾病に関与することが明らかになりつつある現在、精密な解析は病気の診断や治療にとっても不可欠と考えられている。タンパク質の選択的なケミカルラベルは、構造機能解析の有用な手段であるが、これまでは精製された試験管環境で行われることが多かった。しかし、標的タンパク質が本来存在する細胞や組織環境で行われるのが究極の理想であり、そのことによって標的タンパク質が特定の病態のバイオマーカーである場合には、疾病診断や薬剤機能評価などにも応用できる可能性を秘めている。本研究で、Jiang博士は、我々の研究室でこれまで主として培養細胞や組織レベルで実現してきたリガンド指向性化学によるタンパク質選択的なケミカルラベルを、in vivo動物個体などの生体内で実現する方法論の構築を目的として研究を進めている。 1年目は、我々のリガンド指向性化学によるタンパク質選択的なケミカルラベルを、in vivo動物個体などの生体内に展開するために、オリゴエチレングリコールやフォスファチジルコリンを側鎖に有する水溶性高分子を基本骨格として、その側鎖をさらにタンパク質選択的なリガンドおよびラベル化反応基と蛍光プローブをグラフトした高分子ハイブリッド型ラベル化剤を新しく分子設計し合成することから研究をスタートした。その合成戦略としては、異なるモノマーを共重合し、高分子ハイブリッド型ラベル化剤を得る戦略と、反応性の側鎖をもつ高分子を先に合成し、後からラベル化部位やリガンドをグラフトするスキームの両方が考えられた。これらを初年度は、条件検討し、1種類の高分子ハイブリッド型ラベル化剤を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本人が来日して日本の研究室に慣れるのにある程度の時間を要し、またlife eventとしての妊娠による体調不良も重なり、格段に研究が進展したとは言い難い状況である。しかし、彼女のサポートとして共同研究を一緒に進めてくれた大学院学生の健闘もあり、一応1年目の研究項目としては、分子設計した高分子ハイブリッド型ラベル化剤の合成が一つは出来あがり、この機能を評価できる段階まで進んだので、まず順調な進捗と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本人がlife eventとして出産することになり、途中で出産休暇をとる予定のために、研究を一時中断することになった。しかし、来日時から彼女をサポートしながら共同研究を一緒に研究を進めていた浜地研究室の大学院学生の研究を大いに進めることによって、高分子ハイブリッド型ラベル化剤の合成ルートの改善と最適化を図っていきたい。その上で、いろいろな重合度や組成をもったハイブリッドの柔軟な調製にめどが立て、これを用いて、試験管実験から細胞実験、できればin vivoへの展開を図る予定である。
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