2017 Fiscal Year Annual Research Report
スティープスロープMOSトランジスタに最適なMOSゲートスタック構造に関する研究
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16F16070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 信一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30372402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUANG PO-CHIN 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-10-07 – 2019-03-31
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Keywords | トンネリング / MOSFET |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電源電圧を削減し情報処理エネルギーの大幅な低減を達成できるスティープスロープMOSトランジスタにおいて、その実現の鍵となるデバイス構造とその電気特性及びその関係の明確化に関する研究を行っている。ここで、負性容量ゲートFETに関しては、その実現性に問題がなげかけられていることから、トンネルFET(TFET)に注力して、研究を進めることとした。共同研究先から、Si CMOS技術を利用した、Si nチャネルTFETとpチャネルTFETを提供してもらい、その詳細な電気評価と解析を進めた。このTFETでは、ポケットイオン注入とエクステンションイオン注入を用いて、ソース端部において電子をMOS界面方向にトンネリングさせる、縦型TFETが形成されている。 結果として、ポケットイオン注入のない横型接合に比べて、縦型構造にすることで、電気特性が遥かに向上すること、Cイオン注入によりTFET特性が向上し、これはCの導入により、不純物の拡散が抑制され、より急峻な接合が形成されていることによると考えられること、オフセットスペーサ形成後にイオン注入を行うことで性能が向上すること、チャネル長で50 nmの短チャネルにおいても良好にTFETが動作すること、などが明らかとなった。 また、TFETの電気特性のチャネル長依存性から、ある作製条件では、特定のチャネル長で閾値が最大になる逆短チャネル効果が得られることが見出された。またTFETの温度依存性から、Sファクターには比較的強い温度依存性が見られることが明らかとなった。更に、逆短チャネル効果が見られる素子ほどSファクターの温度依存性が強くなり、相互の機構には共通の起源があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、共同研究先から提供されたSi TFETの評価・解析に関して、新規性があり興味深い結果が数多く得られていることや、研究期間で成果を十分にまとめることを考え、現在進めているSi TFETの電気特性の理解と最適構造の提案に、研究内容を絞って、本研究課題を進めることが適切であると判断した。 この観点では、すでに実験的に多くの知見が得られていることから、発見された現象の物理的理解を深めることで、学術誌論文への投稿が十分可能なレベルにあり、研究計画全体から見て、順調に研究が進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当面順調に研究が進んでいるSi TFETの評価・解析に内容を絞って、研究を進める予定である。これまでに得られた電気評価から、特に、逆短チャネル効果やSファクターなどの電気特性の温度依存性に関して、その相関を含めて説明できる物理モデルを構築すると共に、その実証を実験的に行うことを検討していく。また、不純物による接合型TFETの重要な課題の一つとして認識されている特性バラつきに関し、実験データを取得して、その実データの把握とばらつき要因の明確化、ばらつき低減のための提案を目指して、実験と解析の両面から研究を進めていく。
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