2016 Fiscal Year Annual Research Report
前例のないナノ塩基性金属酸化物/ゼオライト触媒による新規高選択的フェノール合成
Project/Area Number |
16F16078
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岩澤 康裕 電気通信大学, 燃料電池イノベーション研究センター, 特任教授 (40018015)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ACHARYYA SHANKHA 電気通信大学, 燃料電池イノベーション研究センター, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
Keywords | ベンゼンの直接酸化反応 / フェノール合成 / アルカリ金属/ゼオライト触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルカリ金属/ゼオライトが、触媒反応の中でも困難な反応とされるベンゼンのフェノールへの直接酸化反応をアンモニア共存下で高選択的に進行させることを研究者らは発見した。当該年度において、アルカリ金属、ゼオライトの種類のスクリーニングや反応温度、触媒量、金属担持量などの反応条件の最適化を行った。 まず、ゼオライトをβに固定し、アルカリ金属にNa, K, Rb, Csをイオン交換法によりゼオライトに担持し、ベンゼンの直接酸化反応に用いた結果、Cs/βが一番高い活性(ベンゼン転化率 1.3%)、フェノール選択性(96%)を示し、さらにアンモニアの分解もフェノール生成量に対してわずかであった。また、ゼオライトとしてβ、モルデナイト、ZSM-5, Yを用いたところβが最もベンゼンの直接酸化反応に適していることが分かった。 次にCs/β触媒を用いて反応条件の最適化を行った。Cs担持量2-10wt%の範囲で、2 wt%以上で活性が横ばいになり、2wt%が最適量であることが分かった。触媒量0.2-1.0 gの範囲で触媒量に応じて反応量も増えるが選択性が0.4 g以上では90%以下まで減少してしまい、0.2 gが最適量であることが分かった。反応温度280-400℃の範囲で温度が上がるに応じて活性も増えたが選択性の低下も見られ、320℃で高い活性と高い選択性が見られた。 また、XRD, XPS, XAFSにより反応前後のCs/βの状態を調べたところ、反応前後でCs, βの状態に有為な変化は見られず反応条件において高い耐久性が示された。 これらの成果を国際学会16th ICC(北京)において口頭発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究実施計画に立てた通り、アルカリ金属/ゼオライト触媒を用いたベンゼンのフェノールへの直接酸化反応における触媒のスクリーニング及び反応条件の最適化を行い、高活性なアルカリ金属/ゼオライト触媒を選定し、さらに最適な反応条件を決定した。 また、翌年度の計画にあるXAFS, XPSの分析の一部を当該年度でも行い、翌年度の計画にあるアンモニア共存下でのベンゼンの直接酸化反応における触媒活性構造を測定していくに必要な知見を得た。 以上より当該年度の進捗状況をおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度でアルカリ金属/ゼオライト触媒の選定と反応条件の最適化が出来たので、これらの知見を基に当該年度の予定にあったバイメタル化等によりさらに高い活性を持つ触媒開発を行っていく他、平成29年度の研究計画にあるXAFS, XPS, ラマン, CO2-TPDなどの分析により酸塩基触媒であるCs/β触媒を用いたベンゼンの直接酸化反応における触媒活性点の構造解析を行い、一般的な酸化還元触媒で唱えられている触媒反応機構との異なる触媒反応メカニズムを明らかにしていく。
|
Research Products
(4 results)