2016 Fiscal Year Annual Research Report
航空宇宙機器システムの次世代健康監視のための弾力的情報学プラットフォーム
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16F16079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢入 健久 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90313189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHAN SAMIR 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-07-27 – 2019-03-31
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Keywords | システム健全性管理 / 航空宇宙システム / 異常検知 / 機械学習 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人工衛星や無人飛行ロボットに代表される航空宇宙システムを主たる対象として、障害不再現現象(Not-found-fault)や誤検知などの不確定要因に対して頑強なシステム状態監視フレームワークを確立することである。小さな不具合が甚大な損害を引き起こし得る航空宇宙システムでは、システムの健康状態を監視し異常兆候を迅速に検知し解決する技術が必須である。航空宇宙分野のための頑強なシステム健全性管理技術の確立という本研究の目的を実現するため、研究初年度である平成28年度は主に以下のサブテーマに取り組んだ。(1) システム健全性監視への様々な人工知能関連技術の応用に関する過去30年間におよぶ網羅的な関連研究文献調査を行った。(2)様々な深層学習派生技術を多変量時系列センサーデータの分類問題に適用しその有用性や応用可能性を検証した。(3)市販のワンボード計算機上に人工ニューラルネットワークを実装するとともに、テストベッド用の小型飛行ロボットを購入して様々なセンサーデータを取得できるようにし、次年度の実証実験の準備を行った。(4)本研究に密接に関連する対話的機械学習に関する国際ワークショップに参加して研究発表を行ない当該分野の主要研究者たちと情報・意見交換を行った。(5)2017年7月に韓国で開催されるシステム健全性管理に関する国際会議に2件の論文を投稿した。1件は既に採択されており、もう1件は査読結果を待っている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者と研究分担者である外国人特別研究員 Samir Khan 氏とは、Khan氏が来日した2016年7月の数ヶ月前から、電子メールや電子会議システム等の手段を利用して、綿密に本研究の方針や計画について打ち合わせを行っていたので、同氏の来日後、速やかに研究を開始することができた。また、徹底的な関連研究分野の文献調査と、提案するシステム健全性管理技術についての理論的考察、実証実験の準備を並行してバランス良く進めることができており、進捗は概ね順調であると言える。体外発表については、2016年7月末の研究開始時期からまだ時間が経っていないため、国際ワークショップでの発表1件に留まっているが、次年度は既に国際会議での論文発表も決定しており、他にも学術論文誌への投稿も視野に入っている。このことからも本研究は順調に進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の文献調査および研究成果に基づき、今後は統合的なシステム健全性監視プラットホームを主に深層学習アルゴリズムおよびクラウドコンピューティング技術を利用しながら構築を行っていく。より具体的には以下の研究活動に取り組む。(1)スケーラブルで弾力的なプラットホームを実現するため、クラウドコンピューティング技術を利用したアルゴリズム実装の方法を明らかにする。 (2) 小型飛行ロボットを具体的な実験対称として、開発したアルゴリズムの実証実験を行う。(3)その他、人工衛星等の航空宇宙関連分野への応用展開を働きかける。(4) これらの研究成果を学術誌論文や国際会議等で積極的に発表する。
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