2016 Fiscal Year Annual Research Report
グリーンプロペラントを用いた低毒性宇宙機推進系の研究
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16F16080
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
堀 恵一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (40202303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AMROUSSE RACHID 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 低毒性 / 液体推進 / スラスタ / 燃焼 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
HAN系新規液体推進薬を用い、イリジウム/白金を基材とする触媒の反応性を高速度カメラを使用し、実験的に観察した。その結果、液体推進剤は触媒表面で、HANの分解による発熱により瞬時に気化することが確認できた。これにより、触媒層下流では2相流を考慮する必要はなく、気相反応だけを考慮すれば良いことが確認できた。 推進薬の燃焼現象を模擬するために、燃焼中での液相中の高加熱速度(~1000K/s)及び燃焼表面温度をを模擬できる「金属製フィルム式加熱器」を備えたTOFMSを用いた実験を実施した。加熱速度は既に取得された実験データと合わせ、加熱終了温度を燃焼表面温度とした。装置の制約上、高圧での実験は不能であったが、大気圧~減圧下で燃焼表面から排出される生成物組成を模擬した上で同定した。これを液相/気相間の境界条件とし、目標とする気相燃焼モデル構築に資する有用なデータを取得した。 量子化学計算を実施し、燃焼の素反応に関する検討を進め、エネルギーダイアグラムを取得した。 以上の結果を基にCHEMKINソフトウェアを用いて、1次元燃焼計算を実施した。現状では、燃焼速度のオーダーは一致するものの、燃焼圧を変化させた際の挙動についてのシミュレーションは成功していない。 スラスタでの燃焼パターンを向上させるために、触媒の組成を変化させた。HAN分解後の気相反応の応答性を向上させるために、後続生成種HNO3の分解に有用とされるCuOなどを追加担持させた触媒を準備し、燃焼試験を実施したが、現状ではパルス燃焼に対する要求を満たすレベルには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間の研究期間の中で、HAN系液体推進薬の燃焼モデルの構築を目指している。 1年目は、その基礎データの取得を目標とし、概ね予想された実験データを取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に取得されたデータを用いて、これまでの実験で得られている燃焼表面温度、燃焼温度場、燃焼速度をシミュレーションできる燃焼反応機構の構築に努める。 構築が成功裏に進めば、実際のスラスタの燃焼試験結果と比較するために2次元CFDシミュレーションに努める。
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Research Products
(4 results)