2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16F16097
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高松 進 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (20260599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MEEBOON JAMJAN 三重大学, 生物資源学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | うどんこ病菌 / 熱帯 / 東南アジア / 生物多様性 / 分類 / 新種 |
Outline of Annual Research Achievements |
各種野菜・果樹、麦類などの主要作物に大きな被害を及ぼすウドンコカビは温帯起源の植物寄生菌で、熱帯地域へ分布を広げ各種熱帯果樹類、野菜類に被害を与えている。しかし,熱帯地域では研究者不足,分類に必要な有性世代を形成しないことなどから、種類等はほとんど明らかになっていない。また、熱帯地域では温帯では見られなかった生態を持つことが示唆されており、熱帯地域への適応進化を探ることは本病を防ぐ意味でも重要である。本研究は以下の2点について実施する。1)分子系統および形態観察により(亜)熱帯地域に分布するウドンコカビの種多様性を明らかにし、主要作物に寄生するウドンコカビの種類を解明する。2)広い範囲の熱帯果樹・樹木類に同種のウドンコカビが寄生する可能性が示された。これは防除のための疫学研究に重要であり、多くの熱帯果樹のウドンコカビを網羅的に調査し、分類的位置および相互感染性の有無を解明する。 平成28年度は10月にインドネシアのバリ島およびジャワ島、12月にタイ北部でそれぞれうどんこ病菌の採集を行った。インドネシアではインドネシア科学院生物研究センター(LIPI)の協力を得ることができ、共同で標本採集に当たり45標本を採集した。また、生物研究センターとの標本貸与協定を結び、生物多様性条約に則って標本の輸入を行った。また、タイ北部では90標本を採集した。現在はこれらの標本のDNAシークエンス解析を行っている。さらに、詳細な形態観察を行い、新種記載、新宿主植物の記載、および東南アジアでのうどんこ病菌の多様性解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドネシアおよびタイにおいて標本の採集を行い、両国合わせて約140標本を採集することができた。現在、これらのDNAシークエンス解析を行っている。また、詳細な形態観察を行い、新種記載、新宿主植物の記録、および東南アジアにおけるうどんこ病菌多様性に関する記録を順次専門誌に発表するべく、作業を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
・平成28年度に採集した標本のDNAシークエンス解析を継続する。また、詳細な形態観察を行い、新種記載、新宿主植物の記録、および東南アジアにおけるうどんこ病菌多様性に関する記録を順次専門誌に発表する。 ・うどんこ病菌は熱帯果樹であるランブータン、ドリアン、ナツメ、かんきつ類、バイオディーゼルの原料となるナンヨウアブラギリ、パラゴムノキ等に寄生し、大きな被害を与えているが、これらの原因菌の多くは未同定である。東南アジアの有用植物に寄生するうどんこ病菌の正確な種同定を行い、的確な防除技術のための資料とする。
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