2016 Fiscal Year Annual Research Report
心腎連関における炎症とキニン系、アンジオテンシン系の役割
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16F16117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下澤 達雄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90231365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOID SUANG SUANG 東京大学, 医学部附属病院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 炎症 / 慢性腎不全 / 心筋虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
心腎連関は最近予後不良因子として知られるようになっているが、その詳細なメカニズムは不明である。本研究では炎症の役割、特に単球、マクロファージ系の関与について検討することを目的とした。 まず、3週齢雄マウスを片腎摘出し8%食塩食を負荷することで腎機能低下モデルを作成した。このモデルは従来ラットで行われていたが、炎症メディエーターの研究を進めるためにマウスでの確立が必要であった。 引き続き、10週齢雄、野生型マウスを用い、左冠動脈を結紮し一過性虚血並びに慢性虚血モデルを確立した。イソフルレン麻酔科で左側胸部を開胸し、左冠動脈前下行枝を同定後一過性虚血では30分の虚血後2時間再開通させた。慢性虚血では左冠動脈前下行枝を結紮後閉胸した。8週間後に心臓、腎臓を評価した。腎不全モデルは3週齢で片腎を摘出し、8%食塩を負荷したのち10週齢で前述の冠動脈狭窄を行った。各群のマウスの心臓、腎臓をサンプリングし、血球を単離、さらにFACSを用いて白血球分画を同定する系を確立した。通常のマウスを用いた虚血の場合と、腎不全モデルでの虚血の場合では心臓内および腎臓内マクロファージ分画に違いが認められ、心腎連関における炎症メディエーターが異なる可能性が示唆された。今後AT1受容体欠損マウス、ケモカイン受容体欠損マウスを用いレニンアンジオテンシン系、並びにケモカインの関与を明らかにする。一方薬理学的実験によりAT2受容体ならびにキニンカリクレイン系の炎症惹起への関与を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物モデルの系を確立し、解析方法も確立できた。本年度にはノックアウトマウスを用いての検討が行えなかったので、今後は各種ノックアウトマウスを用いて検討を進める。 一方ブラジキニンの関与についての検討が遅れており、薬理学的実験を次年度に繰り越して行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立したモデルをアンジオテンシン受容体欠損マウスに応用しレニンアンジオテンシン系の関与を明らかにする。また、ケモカイン受容体欠損マウスを用いて心筋におけるマクロファージの役割を病理学的に検索する。 また、単離したマクロファージ細胞を用いててレニン阻害によるカリクレイン系活性化メカニズムの研究を行う。レニン阻害薬処理マウス、非処理マウスから単離したマクロファージ細胞を用いてsingle cell transcriptome解析を行う。候補物質を用いてマウスにおけるカリクレイン系活性化メカニズムを明らかにする。
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