2016 Fiscal Year Annual Research Report
年齢や暑熱順化がイオン再吸収能力から評価した発汗機能に及ぼす影響
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16F16306
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GERRETT NICOLA 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 汗イオン / 汗腺でのイオン再吸収能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
夏における熱中症の患者の多くは65歳以上の高齢者であり,このことは高齢者に対する熱中症の予防対策が急務であることを示している.この解決の一つとして,発汗機能の改善が欠かせない.本研究では汗イオン濃度吸収能力を,評価法,加齢による変化および改善法の観点から検討することを目的とした.
H28年度では,皮膚電気コンダクタンス-発汗量関係から汗イオン濃度再吸収能力を評価する方法の妥当性を次の課題から検討した.1)汗イオンが皮膚に残るため,出てきた汗イオンを測定できていない可能性がある.2)皮膚電気コンダクタンスは ,汗の量,汗イオン濃度および皮膚の状態により変化するため,汗イオン濃度を直接測定していない.これらの課題を検討するため,1)の課題解決として,申請者らの方法と皮膚に純粋な水を環流させて汗イオン濃度を測定する方法とを比較した.2)の課題解決として,企業と共同で汗イオン濃度を連続的に測定できるシステを構築を試みた.いずれの実験も環境温25°C,相対湿度50%に設 定された環境試験室で,下肢温浴を用いた安静温熱負荷(皮膚温コントロールとして循環スーツ利用)を約50分間温熱負荷を行った.
1)の結果から,発汗量-皮膚電気コンダクタンス関係における皮膚電気コンダクタンスが急激に増加する発汗量(閾値)は発汗量-汗イオン濃度関係からみたそれとほぼ一致していた.このことから,本研究で用いる汗イオン濃度再吸収能力の評価法には1)の課題は大きく影響していなかった. 2)として,汗イオン濃度(塩分)を直接・連続的に測定するデバイスを構築を試みた.汗イオン濃度が低い場合,市販されているセンサーでは分析が難しく,1)での評価との比較が出来なかった.また,このデバイスでも1)の課題,汗イオンが皮膚に残る,は解決出来なかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のように皮膚電気コンダクタンス-発汗量関係から汗イオン濃度再吸収能力を評価する方法の妥当性を検討した.妥当性の検討には2つの課題検討が必要であったが,課題1はおおむね解決できたが,課題2は解決できなかった.
このような点から進捗状況として,おおむね順調に進展しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
汗イオン濃度を直接,連続的に測定する方法の構築に関しては,かなりの時間を要することが本研究から分かった.そこで,今後は次の内容で汗イオン濃度再吸収能力を評価し,それをもとにこの能力が加齢や暑熱順化によってどのように変化するのか,検討していく.
1)本研究では皮膚電気コンダクタンス-発汗量関係から汗イオン濃度再吸収能力の評価方法を用いる 2)汗をガーゼなどで直接採取し,汗塩分濃度を直接測定する.この値と1)とを比較する
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