2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16F16316
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 保 京都大学, 理学研究科, 教授 (20211716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHO SUNGMUN 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-10-07 – 2019-03-31
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Keywords | 2次形式 / エルミート形式 / Gross-Keating不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cho氏は局所体の整数環上に定義された2次形式またはエルミート形式から得られる群スキームの滑らかな整モデルに関する論文を執筆し、これを学術雑誌に発表した。このような群スキームの整モデルを具体的に与えることは、局所密度の計算において重要な役割を果たすものと思われる。一般の局所体上の二次形式の局所密度に関しては、2元2次形式の局所密度に対しては一般的な公式が得られた。 またCho氏は2進整数環上の2次形式のGross-Keating不変量を具体的に計算するアルゴリズムを見出した。これにより、抽象的に与えられていたGross-Keating不変量を2進整数環の不分岐拡大上では具体的に計算できるようになった。この結果に関しては室蘭工業大学の桂田英典氏、東北大学の山内卓也氏および筆者との共著論文を現在執筆中である。 また、Cho氏はさらに直交群に付随する志村多様体上の代数的サイクルの数論的な交点数と2次形式のGross-Keating不変量が類似の帰納的公式を満たすことを見出し、両者の関係に概念的な説明付けを行った。そもそもGross-Keating不変量は数論幾何への応用を目指して定義されたものであり、このように数論幾何への重要や応用が得られたことは特記すべきことであるといってよいと思われる。 Cho氏はこれらの研究成果を発表するため、韓国数学会開催の国際研究集会、京都大学数理解析研究所で開かれた保型形式シンポジウム、アメリカ合衆国のウェズリアン大学、韓国の浦項工科大学などで講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の項に記載してように、Cho氏は局所体の整数環上に定義された2次形式またはエルミート形式から得られる群スキームの滑らかな整モデルに関する論文を執筆し、Gross-Keating不変量の具体的計算法を与え、さらに志村多様体上の代数的サイクルの数論的な交点数と二次形式のGross-Keating不変量が類似の帰納的公式を満たすことを見出し両者の関係に概念的な説明付けを行うなど重要な成果をあげた。Cho氏が来日してわずか半年の間にこれ補をの進展があったのであり、当初の計画以上に研究が進展しているといってよいと思われる。また、Cho氏は論文の執筆、国際研究集会での講演など積極的に行っており、研究は急ピッチで進んでいる。また、これらの進展により、さらに高次の志村多様体上のサイクルの交点数に対しても研究を進める糸口が得られたことになり、研究は今後さらに発展する可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
今までに主として2次形式に対して得られた結果をエルミート形式に対しても拡張することが一つの目標である。とくにエルミート形式のGross-Keating不変量についてはまだわかっていないことが多いので、重点的に研究を行う必要がある。また高次の直交群に付随した志村多様体上の代数的サイクルの交点数の数論幾何的な研究を行う必要がある。また、エルミート形式に対応するユニタリ群に付随する志村多様体上の代数的サイクルの交点数の考察を行う。これらの目的を達するため、国内外で開催される研究集会に積極的に参加し、得られた研究成果は速やかに公表する。また筆者とCho氏は研究上の討論を密に行い、最新の研究成果について意見を交換する。
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Research Products
(7 results)