2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical analysis and applications of crystal growth and anomalous diffusion
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16F16319
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 昌宏 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50182647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU YIKAN 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 非整数階拡散方程式 / 双曲型方程式 / 逆問題 / 一意性・安定性 / 一意接続性 / Carleman評価 / 数値解法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は先行研究および前年度の研究結果を踏まえ、「特異拡散」と「結晶成長」を記述する二種類の偏微分方程式の逆問題に重点を置き、数学解析と数値解析を遂行した。 1. 特異拡散現象を記述する非整数階の時間微分項を持つ拡散方程式に関しては、拡散源を表すソース項を決定する逆問題に関する研究を深化させた。ソース項が変数分離の形をした場合に対し、時間発展または空間分布を決定する逆問題の研究を継続した。拡散源の時間発展を一点での観測データで決定する逆問題については、前年度は定性的な一意性を証明したが、今年度は定量的な安定性を解明した。一方、空間分布を部分内部領域での観測データで決定については、非整数階拡散方程式の重要な性質である「弱一意接続性」を確立したうえ、一意性を証明した。また、上記の逆問題に対する数値解析として、離散化された最適化問題の解の存在性、安定性および収束性を調べ、変分法に基づく反復法をそれぞれ構築した。これらの研究結果は理論上で重要であるだけではなく、汚染物質の発展パターンの識別や汚染源の特定などの環境問題への応用も期待できる。 2. 結晶成長現象を記述する双曲型方程式に関しては、すべての係数が時間と空間変数に依存する一般の双曲型作用素をベースに、成長速度を表す最高階係数の空間成分を決定する逆問題の研究を完成した。前年度に得られたソース項決定逆問題の結果を活用し、線形化およびCarlaman評価を用いて, 部分内部あるいは部分境界における観測データによる局所的な安定性を証明した。一方、数値解法として, 正則化付きの最適化問題で定式化し、変分法に基づく反復法を構築した。この研究結果は、産業界における製造過程の最適制御などに役立つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特異拡散と結晶成長の支配方程式に対する研究は、数学理論および応用の双方で実績を積み上げ、着実に深化している。特異拡散において、平成29年度に得られた結果により、通常拡散を含む場合に未解決問題を解決した。また、結晶成長速度に関する研究は計画以上に進んでいる。しかし、非線形問題および結合系への一般化は予想より準備を要し、平成30年度に着手する。
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Strategy for Future Research Activity |
今まで得られた成果から示唆を受け、今まで平行に遂行してきた「特異拡散」と「結晶成長」の2課題を総合的に考察する。まず、特異拡散を表す非整数階拡散方程式においては、先行研究が少なかった時間微分階数が1より大きい場合に着目し、解の適切性や漸近挙動など基本的な性質について数学解析を行いたい。また、時間微分階数が2に近づくとき、結晶成長を表す双曲型方程式との関係を調べたい。次に、一般的な時間微分階数に対して、ソース項が移動する場合のソース形状あるいは軌道を決定する逆問題を研究し、可能な一意性・安定性および数値解法を考えたい。更に、不均質媒質における物質の溶解・拡散・凝集など一連のメカニズムを解明するため、各支配方程式の結合系を考え、その基礎理論を構築したい。
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Research Products
(10 results)