2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16F16320
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福嶋 健二 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60456754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PU SHI 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2018-03-31
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Keywords | カイラル磁気効果 / カイラル量子異常 / シュインガー機構 / 粒子生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
カイラル量子異常と実時間粒子生成、それに伴う異常電流の発生の関係を明快にすることができた。これはカイラル磁気効果の長年のパズルに対する解決になっており、我々の主要な成果はPhysical Review Letters誌に掲載された。 カイラル磁気効果は、有限のカイラリティを持った物質に外部磁場をかけると、磁場に沿って電流が発生する現象である。これはカイラル(ゼロ質量)粒子では、スピンの向きと運動量の向きがそろっているために発現する量子的な効果であり、高エネルギー原子核や物性分野で大いに興味を持たれている。問題はいかに有限のカイラリティを実現するか、ということで、アイデアの初期段階でカイラリティに対応する化学ポテンシャル(カイラル化学ポテンシャル)が導入された。カイラル化学ポテンシャルの導入は革新的なアイデアだったが同時に、非平衡状態の記述に、一見、平衡状態であるかのような定式化を与えてしまい、多くの混乱を生じさせる元にもなった。 本研究ではカイラル化学ポテンシャルの代わりに互いに平行な電場と磁場と考え、シュインガー機構によってカイラリティが作られる実時間プロセスに注目した。カイラリティ生成率は、軸性ウォード恒等式によって書くことができるのだが、この恒等式には粒子の質量に比例した項が存在している。普通はゼロ質量極限でその項を落としてしまうのだが、我々は、質量に比例しているように見える項が、期待値を正しくとると、ゼロ質量極限でも消えないことを示した。そして我々は、この消えない項の寄与によって、実時間プロセスではよく知られたシュインガー機構の公式が再現され、また平衡状態では異常電流の答えがゼロになることを見出した。これは、カイラル磁気効果が本質的に非平衡プロセスであることを意味しており、カイラル化学ポテンシャルの場合と違って、平衡状態では正しくゼロになる。
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Research Progress Status |
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)