2016 Fiscal Year Annual Research Report
二重閉殻核Sn-100およびSn-132周辺の単粒子構造
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16F16323
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
櫻井 博儀 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 主任研究員 (70251395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BROWNE FRANK 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 不安定核の構造 / 単粒子軌道 / 核子ノックアウト反応 / インビームガンマ分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は理化学研究所「RIビームファクトリー」(RIBF)で実施する実験を準備するためのシミュレーションワークなどを行った。主な準備項目は、①不安定核ビーム生成のシミュレーション、②ガンマ線収量のシミュレーション、③理論的な議論である。 ①Sn-100およびSn-132周辺のビーム強度、純度の詳細について計算を行い、不安定核ビームラインの種々の制御パラメータを決定した。また、②については、香港大学から新たにNaI結晶が持ち込まれ、これを従来のシステムに追加したガンマ線検出器群の幾何学的配置をシミュレーションし、従来に比べ検出効率を20%程度向上させる新しいセットアップを考案した。③の理論的な議論については、Sn-133に非束縛状態にもかかわらずガンマ崩壊する現象がみいだされ、類似の現象がSn-135に現れるかどうかなどの議論を行った。 上記①、②はSn-102の電気四重極遷移確率の測定、および①、②、③はSn-133、Sn-135の単粒子軌道測定のための、実験計画に反映され、これら二つの実験申請書作成に大きな貢献をした。これら実験申請書はRIBFの国際実験課題採択委員会で承認され、来年度以降の実験が予定されている。 さらに、上記②はインビームガンマ分光の実験全般に対する貢献が大きい。来年度に実施される陽子標的を用いた核子ノックアウト反応により、Ar、Ca、Ti同位体を対象とした研究を行うことになっており、このプログラムで彼の提案したセットアップを採用することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に実施した活動は、理研RIBFでの様々なインビームガンマ実験プログラムに波及効果を見せている。また研究課題については、これまでの分光実験から、Sn-133に非束縛状態にもかかわらず、ガンマ崩壊する現象が発見された(平成29年度発表予定)。これが契機となりSn-133の詳細な研究とSn-135の研究も行うことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、Ar、Ca、Ti同位体の核構造研究を、陽子標的を用いた核子ノックアウト反応で行うことを予定しており、これに参加してデータ解析を行い、核子ノックアウト反応に関する知識を深めてもらう予定である。さらにSn-100およびSn-133については、並行して実験申請書をまとめて、国際実験課題採択委員会に提出する予定である。
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