2016 Fiscal Year Annual Research Report
自動点滅する蛋白質ラベル化プローブ:1分子及び超解像顕微鏡応用
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16F16331
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊地 和也 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70292951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KUMAR NARESH 大阪大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | PYPタグ / 光スイッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光分子の光スイッチングとタンパク質ラベル化技術は、超解像イメージングを可能とする重要な要素技術となっている。本研究では、光照射により蛍光制御能を変化させる分子の開発とタンパク質ラベル化プローブの開発を実施した。 まず、蛍光制御分子として、光照射により蛍光分子の蛍光を制御できる分子の探索を行った。種々の蛍光色素と、これらの蛍光を制御できる分子の探索を行った。これらの分子に光照射を行い、その蛍光制御能を検討した。その結果、UV光と緑色光で光スイッチング可能な分子を見出した。 また、これらの光スイッチング分子を標的タンパク質に結合させるためのタンパク質ラベル化技術の開発に取り組んだ。これまでの研究で、PYP(Photoactive yellow protein)をタグとしたラベル化技術を開発してきた。PYPは、紅色硫黄細菌由来の小タンパク質で、桂皮酸やクマリンの誘導体からなるリガンドと、チオエステル交換反応によりCys69と共有結合することが分かっている。そこで、桂皮酸をリガンドとして、TAMRAを蛍光色素としたプローブを開発した。このプローブは、遊離状態では非蛍光性で、ラベル化反応に伴い、蛍光強度を上昇させる蛍光スイッチを有していることが判明した。更に、細胞核内に核移行シグナルを融合したPYPタグを発現させ、プローブを添加したところ、特異的に細胞核から蛍光が観測された。この結果、プローブは、細胞膜を透過し細胞核内のタンパク質をラベル化・イメージングできることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光スイッチングプローブは、超解像イメージングにおいて、極めて有用な分子ツールである。また、細胞内のタンパク質を超解像イメージングするには、合成プローブを特異的に標的タンパク質に結合させる必要がある。これらの二つの要素の基盤技術を開発することが本研究の目的であり、光照射により蛍光制御可能な分子の開発及び、ラベル化プローブの開発に成功していることから、概ね順調に研究が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、光照射により光スイッチングが可能な分子のプロトタイプの探索に成功した。今後は、このプロトタイプをもとに、より効率的に光スイッチングが可能な分子の探索及び分子デザインを行っていく。また、この光スイッチング分子を標的タンパク質に導入するタンパクラベル化技術の高効率化及び高速化を目指す。ラベル化技術の性能向上の後に、光スイッチング分子をタンパク質に導入するためのラベル化プローブの開発に取り組んでいく。
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