2016 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物系バイオマスからのエネルギー生成と窒素除去のハイブリッドシステムの開発
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16F16352
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 玉友 東北大学, 工学研究科, 教授 (30201106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LU XUE-QIN 東北大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 環境保全 / バイオマス / 廃棄物処理 / メタン発酵 / 嫌気性膜分離法 / アナッモクス / バイオガス / エネルギー回収 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はエネルギー回収と低炭素化に対応する革新的廃棄物系バイオマス利活用システムを開発しようとするものである。廃棄物系バイオマスからの効率的メタン生成と発酵液の低炭素型高度処理を同時に実現するために、新規前処理ユニット、嫌気性膜分離反応槽を用いたメタン発酵ユニット、担体添加型一槽式ANAMMOXを用いた窒素処理ユニットを含む新規ハイブリッドシステムを開発する。具体的には、次の研究項目に取り組む予定:1.バイオマスの分解を促進する前処理ユニットの研究、2.AnMBRによる可溶化バイオマスのメタン生成の効率化、3.担体添加型一槽式ANAMMOXを用いたメタン発酵消化液の高度処理、4.システム評価と応用検討。この一連の研究を通して物質収支、エネルギー収支だけでなく、LCA評価も解析して、新しいシステムのエネルギー回収や低炭素化効果を明らかにする。 平成28年度研究は嫌気性膜分離法による廃棄物のメタン発酵の評価に焦点を絞り、実験装置を組み立て、破砕した生ごみを用いた連続実験を行い、水質浄化性能、メタン生成および膜分離機能に及ぼす滞留時間の影響を把握した。具体的には、室内メタン発酵装置を35℃で運転し、水理学的滞留時間(HRT)を30日から10日まで段階的に変化させて、有機物の分解、バイオガスの生成量と組成、分離膜のろ過能力と洗浄頻度などにおよぼすHRTの影響を検討することで、要素技術である嫌気性膜分離メタン発酵法の基本的性能を把握した。特に膜分離を用いた嫌気性微生物濃度とSRT制御によりバイオメタン回収の増加を促進することができた。膜透過水のCOD濃度が300-500mg/L,NH4+-N濃度が700-900mg/L, メタン生成率 が0.3-0.33 LCH4/g-投入CODのよい処理成績が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は廃棄物系バイオマスからの効率的メタン生成と発酵液の低炭素型高度処理を同時に実現するための革新的廃棄物系バイオマス利活用システムを開発しようとするものである。全体システムは新規前処理ユニット、嫌気性膜分離反応槽を用いたメタン発酵ユニット、担体添加型一槽式ANAMMOXを用いた窒素処理ユニットを含む。平成28年度では、嫌気性膜分離法による廃棄物のメタン発酵の評価に焦点を絞り、実験装置を組み立て、破砕した生ごみを用いた連続実験を行い、水質浄化性能、メタン生成および膜分離機能に及ぼす滞留時間の影響を把握したので、当初計画した目標はおよそ達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでおおむね計画通りの成果が得られたので、平成29年度以降は次のように取り組む予定である。 1. AnMBRによる可溶化バイオマスのメタン生成の効率化: 嫌気性膜分離による微生物濃縮効果を生かして、高濃度・高負荷メタン発酵を実現するとともに、異なる温度、TS濃度および有機物負荷条件下におけるメタン生成および膜運転の特性を把握し、膜洗浄やファーリング防止の方法を確立する。 2. 担体添加型一槽式ANAMMOXを用いたメタン発酵消化液の高度処理: 嫌気性処理のメタン発酵消化液に含まれる高濃度のアンモニア窒素を除去するための担体添加型一槽式ANAMMOXを研究する。中温条件で中高濃度アンモニア排水に対する処理性能を検討する。この実験を通してスタートアップ時間や生物膜の形成状況と窒素代謝活性を把握する。担体デザインと反応条件の制御工夫により、最適運転条件を確立する。 3. 新規融合システムの性能評価(平成30年度): 平成29年に構築した新規融合プロセスを用いて、長期連続実験を通して前処理ユニット、AnMBRおよび担体投入型一槽式アナモックスの各ユニットの処理性能とシステムの実用性を把握する。物質収支、エネルギー収支の観点だけでなく、LCA評価も含めて新規システムを評価して、従来技術に比較しつつ新しいシステムのエネルギー回収や低炭素化効果を明らかにする。
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