2016 Fiscal Year Annual Research Report
アミド基含有環状抽出剤の新規合成による白金族リサイクル技術の革新的開発
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16F16353
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
柴山 敦 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (30323132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MUNIYAPPAN RAJIV GANDHI 秋田大学, 国際資源学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 白金族 / 抽出 / カリックスアレーン / アミド基 / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、白金族金属のパラジウムや白金、ロジウムの湿式リサイクルに焦点を当て、導入する官能基によって様々な金属に選択的に認識できる「カリックスアレーン」の性質を最大限に引き出す抽出剤の開発を進めることである。本年度は以下の成果を得ることができた。 アミノ基を有するカリックスアレーン抽出剤の合成では、カリックスアレーンのベンゼン環部位にジアルキルアミノ基を導入したアミン誘導体を開発した。合成に成功したのはジプロピル化体とジブチル化体である。これら2種類の内、プロピル化体は抽出実験後に第3相の形成が確認されたため、ジブチル化体を用いてパラジウムや白金、ロジウムの各金属を単独で含む塩酸溶液に対し抽出実験を行った。その結果、今回の誘導体(抽出剤)はパラジウムと白金に高い親和性を示し、パラジウムや白金、ロジウムを混合したモデル溶液に対してもパラジウムと白金に高い抽出能力を有することを確認した。塩酸濃度を変化させた実験では、塩酸濃度が増加するのに伴い、パラジウムの抽出率が大きく減少する一方、白金の減少はわずかであり、白金に高い親和性をもつ抽出剤であることが示唆された。また、抽出機構に関する考察としてスロープ解析を行った結果、抽出剤とパラジウム、白金に対する化学量論比が抽出剤:金属=1:1であることが明らかになった。このことから抽出剤と金属イオンがイオン対を形成して捕捉、抽出していることが推察されたほか、自動車排ガス触媒由来の白金族を含む酸浸出液に対し抽出実験を行った結果、モデル溶液と同じくパラジウムと白金に高い抽出能力を示すことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミノ基を有するカリックスアレーン抽出剤では、白金族への親和性を確認したほか、自動車排ガス触媒の白金族金属についても抽出能力を評価した。いずれも高濃度塩酸溶液で溶解した白金族金属であるが、パラジウム、白金に対し高い抽出能力を有することを確認した。この点については、当初計画以上の成果が得られたと考えている。また、アミド基の導入に関しては現在も研究を進めている段階であり、今のところ2種類のアミド化体の合成を継続している。以上を総括すると、当該年度の研究計画としてはおおむね順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
カリックスアレーンへのアミド基の導入について合成条件を検討し、合成実験を継続する。合成後は直ちに、白金族金属のパラジウムや白金、ロジウムの単独溶液に対する抽出実験を行い、抽出能力を評価する。特に着目する点として、濃度依存性や抽出率に与える影響などを中心に調査し、抽出条件の最適化を図る。また、モデル溶液からの白金族金属の抽出実験により、抽出機構の検証やスロープ解析を行う。これらの試験と解析により、白金族金属の抽出に与える主要な影響因子を突き止めるとともに、自動車排ガス触媒などリサイクル原料由来の試料に対しても選択的な抽出特性を発揮できるのかその可能性を探索する。
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