2017 Fiscal Year Annual Research Report
Atomic film and Fullerene Nanojunctions for Near-Infrared Photodetector
Project/Area Number |
16F16360
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
塚越 一仁 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50322665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHENG SHUSHU 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 半導体物性 / 先端機能デバイス / 表面・界面物性 / フラーレン |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ電子素子の伝導基盤である原子膜とナノ構造物質からなる結晶とのヘテロ界面を構築し、デザインされたナノ界面での光応答機能を有する薄膜素子の実現を試みる。従来素子での光感受性が極めて弱い波長領域(緑領域)に対して、受光感度が高まる独自構成のヘテロ界面の実現を目指す。 この研究では、n型材料であるフラーレン結晶と両極性原子膜を組み合わせることで、バンドギャップを電界でチューニングできる素子を造れる可能性を追求し、原子膜の両極性の有効利用とヘテロ材料界面のポテンシャル障壁高の調整で、現状の不感領域だけでなく広い領域を1素子で検知できる構造にまで発展させることを目標としている。 これまでに、高純度フラーレンC60,C70、金属内包フラーレンを使って、フラーレン結晶形成の高品質素子化を追求した。C70とCoポリフェリン分子を混合し、それぞれが互い違いに自己組織的に組み上がる現象を見出した。 この自己組織化結晶は、ワイヤー状の単結晶(長さ10ミクロン、幅数10nm)を形成する。この有機分子とフラーレンのハイブリッド結晶の構造と特性を評価した。ワイヤー状結晶を熱アニールして、1本を取り出し、電極を形成して導電性を評価した。基本的に半導体的な導電特性を示す。この半導体特性は、熱アニールの処理温度を高めると、特性が低下する傾向にあるが、1000Cでのアニールを行った結晶でも、半導体としての特性を保持する強固な結晶性を有していることがわかった。(論文として発表) さらに、この結晶の構造詳細を、SPring-8と協力して、解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フラーレンC70とCoポリフェリンのワイヤー状結晶の機能評価を推進していると同時に、SPring-8での構造解析ならびに理論研究者と議論しながら、理論的な構造解析も進めている。 また、結晶形成の際の溶媒を変えることで、微粒子状結晶となることを見出し、特有の発光現象が生じることもわかった。この現象に関しても、現在、構造解析と発光現象の詳細を調べている。 さらに、ワイヤー状結晶に電極をつけて過電圧を印加して電流を調べると、電流の極性変化の中で電流メモリー効果が生じていることも見つかった。フラーレン結晶の中で、フラーレン同士の結合と乖離が生じて電流メモリー効果が生じている現象の可能性があり、フラーレン分子に特異のメモリー特性の可能性がある。今後、本現象も特性の解明を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの基礎技術を基として、様々な展開が拓けつつある。1つ1つを纏められるように、再現性の確認と共に、関連データを蓄積し、解析を進めていく予定である。 Zengさんは、初めて出身国以外でのはじめての研究活動ではあるが、真面目な性格であり、着実に実験データを蓄積していくために、様々な興味深い現象が現れつつある。論文発表や学会発表も行えるようになってきているため、今後さらに発展が期待できる。
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Research Products
(5 results)