2017 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動下において渇水が地域的・全球的食糧安全保障にもたらす波及的影響のモデル化
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16F16376
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 温 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30293963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
UDMALE PARMESHWAR 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 渇水 / 農業生産 / 食糧需給 / 波及的影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
アジアのいくつかの国は、人口の増大と経済発展にともなって、食糧の生産と消費において世界でも有数の規模となってきている。たとえば、10億人以上の人口を擁するインドと中国は、米と小麦を中心に大きな生産シェアを有し、また食糧消費も増大の一途をたどっている。こうした国々における穀物類の不作は、国際食糧市場に大きな影響を与える。本研究では、世界の食糧事情に影響を与えつつあるアジア諸国を対象として、(1)現在気候下での渇水と農業生産(とくに穀物類の生産)の関係を分析し、(2)渇水に伴う国・地域レベルでの農業生産量低下の影響が、国際的な食糧市場を通じて、他の国にどのように波及していくか分析する。そして、(3)近い将来予想される気候下でのアジア諸国の渇水とそれに伴う農業生産量低下のリスクを評価するとともに、国際食糧市場を通じて他国に波及する影響を推定し、全世界的な食糧安全保障との関連性について分析する。 当該年度は、国レベルの非常に大規模な渇水年の定義手法の開発、ならびに大規模な渇水に伴う農業生産量の低下の定量化手法の開発を行った。対象は、米・小麦などの主要な穀物類とし、生産量についてはFAO(国連食糧農業機関)統計データベースなどを利用した。気象諸量については、イーストアングリア大学 Climate Research Unit が提供しているグローバルデータや対象国の気象官庁の観測値を利用した。本手法をインドに適用したところ、本手法によって抽出された渇水年は、EM-DAT(国際災害データベース)に収録されている渇水年におおむね一致すること、その一方で、EM-DATに渇水年として収録されているものの、本手法によれば渇水年としては抽出されず、降水量や農業生産量の観点からも渇水年とはいえない年があること、大規模渇水年の農業生産量は平年と比べて9%程度低下することなどが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題の一つである現在気候下での渇水と農業生産の関係を定量的に分析する手法を開発することができた。また、その中で、国レベルの非常に大規模な渇水年を客観的に定義する手法を開発することができた。後者の手法は客観性の高い手法であり、実際、EM-DATに渇水年として記録されている年が現実には渇水年ではなかった可能性があることを明らかにするなど、主観的な認知によるエラーを排除することができる。また、このように渇水年を客観的に定義する方法を用いることで、渇水が農業生産にもたらす影響の分析についても信頼度を高めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた研究計画をそのまま遂行する。具体的には、アジア諸国を対象として、渇水に伴う農業生産量低下の他国への波及的影響の分析、近い将来予想される気候下での農業生産量低下リスクの評価、食糧安全保障との関連性の分析へと研究を進める。
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Research Products
(1 results)