2017 Fiscal Year Annual Research Report
SARリモートセンシングとGIS技術を融合した災害マネジメントシステムの構築
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16F16380
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松岡 昌志 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (80242311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KARIMZADEH SADRA 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 地震被害 / 合成開口レーダ / コヒーレンス / イラン・アハール地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に開発した手法を2012年8月11日に発生したイラン・アハール地震に適用した。この地震は同日の11分の間に2つ発生し,イラン北西部はかなりの死者と損害を被っている。ここでは,RADARSAT-2データのWide Multi-look Fineモードで観測された4つの合成開口レーダ(SAR)画像を用いた。すべての画像は,8mの空間分解能を持ち昇順の軌道から観測されている。最初の組(2012年4月13日および2012年9月8日)は調査領域全体をカバーし,2番目の組(2012年3月13日および2012年8月28日)は調査領域を部分的に包含している。調査地域は38の農村地帯で構成されているため,個々の建物損傷評価ではなく,ブロックベースの損傷評価手法を適用した。その結果,現地調査データとの比較では、全研究領域および震央付近の総合的な精度がそれぞれ60%(38サイトのうち23サイト)および70%(13サイトのうち9サイト)であった。震源距離とコヒーレンス値と関係をみると,震源に近いほどコヒーレンス値が低い。そして,コヒーレンス値に基づく損傷評価技術の全体精度は60%,カッパ係数は0.51となった。他の既往研究ではSARコヒーレンスマッピングに基づく全体的な精度は40%~80%になり,これらの精度は,手法や利用可能なGISデータに依存する。本研究で用いた画像ペアは時間間隔が長く,かつ,レーダがCバンドという短い波長のため,感度の問題から精度がやや低かったものと思われる。もし,分解能が高く,波長が長いLバンドであれば精度が上がると予想される。ブロックベースの損傷評価手法は災害対応の初動体制構築という視点では利点があるものの,地震被害による建物の損傷形態は非常に複雑なため,今後は強度画像に基づくシャドー解析や現地の詳細情報を統合した手法を構築することが,精度向上に有効と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に実施予定であった被害推定の高精度化に関して,コヒーレンスの値と共に震源からの距離が有効であることを明らかにした。また,研究成果についてSCI論文を2編投稿し採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に開発した位相情報に基づくコヒーレンス解析手法を2016年に発生したイランーイラク国境の地震を観測したPALSAR-2画像やSentinel画像に適用して,現地調査データと比較することで手法の妥当性を確認する。また,2016年8月24日にイタリア中部アマトリーチェで発生したM6.2の地震を対象に,強度画像解析とコヒーレンス解析を統合した手法を適用し,被害との関係を明らかにする。また,地形条件と被害の関係も調べ,さらには,建物単位でのコヒーレンス値の推移解析と異常検知手法の開発を行う予定にしている。さらなる研究の発展を見据えて,被害が発生する前の構造物の健全性評価の視点にて位相情報の時系列解析が利用できると考え,イランの湖にかかかる橋を対象に,長期間にわたる人工衛星(Envisat衛星,ALOS衛星,TerraSAR-X衛星,Sentinel衛星)のSAR画像を収集し,InSAR時系列解析を行う。
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Research Products
(2 results)