2016 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of Myb305 transcription factor in tomato development
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16F16395
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江面 浩 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00332552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM JI-SEONG 筑波大学, 生命環境系, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-10-07 – 2019-03-31
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Keywords | トマト / Myb305遺伝子 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、トマトのMyb305遺伝子の発現を過剰発現もしくは発現抑制させた形質転換トマトの解析を行い、当該遺伝子のトマト果実発達における機能解明を行うことを目的とする。まず、当該遺伝子は、本来トマトの雌蕊で強く発現する遺伝子として同定された点、及びMyb遺伝子は葯・花粉発達に重要と考えられているため、形質転換体の生殖器官の稔性を調査するとともに、雌蕊、葯の発達・分化に関わるとされる遺伝子群のmRNA発現を調査する。次に、形質転換体で見られた表現型の原因を明らかにするため、種子のmucilage、種皮におけるフラボノイド、デンプン、リグニンあるいはアントシアニンの含量を明らかにする。同時に、これらの合成に関与する遺伝子群の発現を調査して、Myb305遺伝子がトマトの発達を制御する機構を解明する。初年度は、当該Myb305遺伝子の発現抑制組換え体及び過剰発現体のホモ系統の獲得、さらに得られたホモ系統の予備的な表現型解析を行った。その結果、Myb305遺伝子の発現抑制組換え体については、世代促進を行い、複数(4系統)のホモ系統が獲得でき、その予備的な解析を行った。ホモ系統では、野生型に比べ、Myb305遺伝子の発現が70から90%抑制されており、それらの系統では開花が抑制されていたことから、当該遺伝子が開花に関わる遺伝子であることが示唆できた。一方、過剰発現組換え体については、生育抑制(矮性など)が見られ、年度末時点で1系のみでホモ系統が得らた。引き続き、栽培を続け、ホモ系統の獲得を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画は、Myb305遺伝子を抑制もしくは過剰発現したトマト組換え体の世代を進め、導入遺伝子に関するホモ系統を獲得すること、続いて、得られたホモ系統の詳細な表現型解析を行い、特に当該遺伝子の発現制御とリンクした表現型変化を明らかにすることを計画していた。Myb305遺伝子を発現抑制した組換え体については、複数のホモ系統の獲得を目指した結果、4系統のホモ系統が得られ、それらのホモ系統では遺伝子発現抑制を確認し、発現抑制程度に合わせて開花が抑制されることを見出した。また、次年度の解析のためのホモ系統を確立できた。一方、Myb305遺伝子を過剰発現した組換え体についても、複数のホモ系統の獲得を目指して世代促進を進めたが、年度末時点で1系統のホモ系統は獲得できたが、複数系統のホモ系統を獲得するに至っておらず、現在もホモ系統の獲得を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
複数のホモ系統が得られたMyb305遺伝子抑制組換え体については、再度、詳細な表現型解析を行い、当該遺伝子の発現制御とリンクした表現型変化、特に果実発達の表現型変化に対する当該遺伝子の関与の再現性を確認する。加えて、開花、花弁老化、受粉、果実の発達期のデンプン代謝を明らかにするとともに、それぞれの器官、発達時期による関連遺伝子の発現解析を行い、Myb305遺伝子が制御する遺伝子群を明らかにする。一方、複数のホモ系統が得られていないMyb305遺伝子過剰発現組換え体については、ホモ系統の獲得を進める。複数のホモ系統が確立できた時点で、詳細な表現型解析を行い、当該遺伝子の発現制御とリンクした表現型変化、特に果実発達の表現型変化に対する当該遺伝子の関与の再現性を確認する。加えて、開花、花弁老化、受粉、果実の発達期のデンプン代謝を明らかにする。これらの結果から、Myb305遺伝子のトマト発達における役割を明らかにする。
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