2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16F16399
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
今村 壮輔 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (70548122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PANCHA IMRAN 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 微細藻類 / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
TORの活性を阻害すると、微細藻類において中性脂質であるトリアシルグリセロール (TAG) が蓄積することが我々の先行研究によって明らかになっている。スターチ生合成系を不活性化すると、TAGの蓄積量が増加することから、光合成で同化された余剰な炭素は、まずスターチとして貯蔵され、その後にTAGとして蓄積すると考えられている。よって、今年度はまず、TOR (target of rapamycin) の活性とスターチ蓄積との関係を解析した。実験には、TORの特異的な阻害剤である、ラパマイシンに対して感受性性を示す紅藻シゾンSF12株を用いた。SF12株にラパマイシンを添加した後のスターチ量を測定した。その結果、ラパマイシンを添加した後にスターチ蓄積が観察された。このことから、TOR阻害によって、スターチ蓄積が誘導されることが示された。 ラパマイシンを添加してTOR を阻害した際、どのようにしてスターチ蓄積が引き起されるのかについて、その機構の一旦を明らかにすることを試みた。その分子機構を解明する手がかりとして、リン酸化プロテオーム解析を行い、TORの基質タンパク質の情報を得ることを試みた。その結果、TORに阻害によって、リン酸化の程度が変化したタンパク質を同定することができ、TORの基質候補をピックアップした。その中で、スターチなどの糖質合成に関わるであろう因子を探索し、次年度の機能解析の基盤情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、TOR阻害時におけるスターチ蓄積量の変動を解析すること、更に、TORの基質タンパク質の情報から、スターチ生合成に関わるであろう因子をピックアップすることである。 スターチ蓄積量に関しては、ラパマイシン感受性シゾンを用いてTORを不活性化した条件でのスターチ量を測定した結果、スターチが時間経過と共に蓄積することを明らかにしている。また、リン酸化タンパク質の網羅的な解析によって、スターチなどの糖質合成に関わるであろう候補因子を幾つかピックアップすることに成功している。よって、おおむね計画通りに順調に研究が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、スターチなどの糖質合成に関わるであろう候補因子について、実際にTORの活性依存的にリン酸化が変化するのか、などの解析を実施し、TORと各因子との関係を明らかにする。リン酸化の変化が認められた因子については、当該因子を過剰に発現させたり、リン酸化を模倣、もしくは脱リン酸化を模倣したタンパク質を過剰に発現する。その後、細胞内におけるスターチ蓄積量を測定し、スターチ生合成における機能解明の一助にすると共に、スターチが高蓄積する藻類株の構築に向けて研究を進める。
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Research Products
(6 results)