2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of plant parasitic nematode infection mechanisms
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16F16406
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澤 進一郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (00315748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TSAI YI-LUN 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 種子ムシゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
シロイヌナズナの種子を用いて、ルテニウムレット染色によるムシレーシの分泌の観察と線虫誘引試験を行った。ムシレージの主成分のペクチンは酸性多糖であるポリガラクツロン酸やラムノガラクツロナンからなり、ルテニウムレッド水溶液はポリガラクツロン酸やラムノガラクツロナンといった酸性多糖を染色する。そのため、ルテニウムレット染色によりムシレージか観察できない場合でも、ムシレージ中のペクチンが存在しないだけでムシレージ中の他の成分は存在している場合はある。まず、野生型であるColumbiaの種子を用いて、ルテニウムレット染色によるムシレーシの分泌の観察と線虫誘引試験を行った。Colの種子は、ルテニウムレット染色によりムシレージが観察でき、ムシレーシが周囲に分泌されてることがわかった。また、Colの種子を線虫行動観察用培地に置いて1日後に観察したところ、線虫が種子の周囲に誘引されていた。 次に、ムシレージ関連遺伝子の欠損変異体の種子を用いて、ルテニウムレット染色によるムシレーシの分泌の観察と線虫誘引試験を行った。yipはトランスゴルジ体を介して細胞壁多糖類を分泌することができず、ムシレージが分泌されないことが知られており、gl2はMUM4/RHM2遺伝子の発現を正に制御することができず、ムシレージを合成できないことが知られている。また、echは yipと複合体を形成してトランスゴルジ体を介して細胞壁多糖類を分泌することができず、ムシレージが分泌されないことが知られている。ムシレージに線虫誘引物質が含まれているか確認するため、yipやgl2、echの種子を用いてムシレーシの分泌の観察と線虫誘引試験を行った。yipやgl2、echの種子はルテニウムレット染色によるムシレージの存在が確認できなかった。また、yipやgl2、echの種子ては線虫は種子の周囲に誘引されていなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、ある植物種の種子ムシゲルにサツマイモネコブセンチュウの誘引活性があることを明らかにした。本研究結果は、これまでに無い新しい知見であり、農業被害をもたっらす植物感染性線虫の感染機構において、線虫行動を制御する分子機構に近づけたことを意味している。
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Strategy for Future Research Activity |
様々なムシゲル突然変異体や、各種植物を用いて、サツマイモネコブセンチュウ誘引活性の高い種子ムシゲルをつくる植物や、ムシゲルをつくらない植物、サツマイモネコブセンチュウの種子への誘引活性の異なる植物などを明らかにし、さらには、種子ムシゲルの精製と単離にむかいたいと考えている。
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