2016 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算による機能材料界面の原子構造と量子輸送特性の解明
Project/Area Number |
16F16705
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
幾原 雄一 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (70192474)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI HONGPING 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2016-07-27 – 2018-03-31
|
Keywords | 第一原理計算 / 走査透過電子顕微鏡法 / 異種界面 / セラミックス / 磁性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
マグネタイト(Fe3O4)双晶の電子状態と磁気特性について第一原理計算を行った. フェリ磁性・半金属の特性を持つマグネタイトは様々な特性を有し, スピントロニクス, 磁性デバイス, 触媒, 薬品として多数の用途が認められている. マグネタイト双晶欠陥に関する研究は多数あるが, 原子構造と物性の直接的な因果関係は現在のところよく分かっていない. 本研究では, まずヘマタイト結晶(Fe2O3)を真空中1246℃で加熱し, マグネタイト双晶試料を得た. 次に走査透過電子顕微鏡(STEM)法により, (111)面上に成長した3種類の安定構造を発見した. そして第一原理計算(VASPコード)により, 最安定原子構造とその物性を探索した. その結果, 双晶近傍の強・反磁性は原子構造に依存することが分かり, それぞれ特徴的な電子状態を持つことが明らかになった. さらに, 微分位相コントラストSTEM法により磁気結合を直接観察し, 理論計算による予測と整合する結果を得た. また, 金属/セラミックスの異種界面についても理論計算を行った. 異種界面は工学材料に多く見られ, 界面の原子構造は材料物性に多大な影響を及ぼすため, 物性発現機構を系統的に解析することが重要である. パラジウム/酸化亜鉛の異種界面界面の格子定数は18%と大きく異なるが, 周期的に原子位置がずれることで不整合を補填していることが分かった. 1000原子弱の超格子モデルを作成し第一原理計算を行ったところ, 界面の結合は共有結合とイオン結合の両方の性質を示し, 原子配置のずれによってその度合いが異なることが明らかになった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では, マグネタイト双晶および金属/セラミックス異種界面の最安定原子配置・電子状態・磁気特性を, 第一原理計算を用いて理論的に解明した. 必要な理論計算は既に終了しており, 原子分解能走査透過電子顕微鏡法による実験の結果をよく再現することが分かった. 前者は論文投稿段階にあり, 後者も論文投稿準備中である. 従って, 本研究は概ね順調に進行していると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は, 金属/セラミックス異種界面としてパラジウム/酸化亜鉛系を扱ったが, 他の系の試料も既に得ており, 原子分解能走査透過電子顕微鏡法により観察を行う. さらに第一原理計算を行うための原子モデルを作成し, 詳細な原子構造と電子状態の解析を進める. これにより, 金属/セラミックス界面の物性発現機構を系統的に明らかにする.
|
Research Products
(1 results)