2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16F16714
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬川 浩司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50216511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALMOSNI SAMY 東京大学, 総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-07-27 – 2018-03-31
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Keywords | 有機・無機ハイブリッド / ペロブスカイト太陽電池 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
ソフトウェアSILVACO ATLASを用いて、ペロブスカイト太陽電池(PSC)においてみられるヒステリシス現象の研究を行った。コンパクト酸化チタン層(c-TiO2)におけるトンネル支援電荷トラッッピング効果とc-TiO2 /ペロブスカイト層(MAPbI3)界面での電荷再結合効果を組み合わせることにより、実験的に観測されるヒステリシス現象のスキャン速度および初期印加電圧への依存性を再現することができた。本研究ではトンネル支援電荷トラップがPSCの電流-電圧曲線(I-V曲線)に及ぼす影響を評価することを目的とし、イオン移動/蓄積、点欠陥、および粒界など、実際のデバイスにおいてみられる幾つかの側面については取り扱わず、ペロブスカイト層との界面近傍に位置するc-TiO2層の欠陥の影響のみを評価した。欠陥が、c-TiO2もしくは2,2’,7,7’-tetrakis-(N,N-di-4-methoxyphenylamine)-9,9’- spirobifluorene (spiro-OMeTAD)との界面近傍のペロブスカイト内に位置する場合、ペロブスカイトとの界面近傍のspiro-OMeTAD内に位置する場合、およびペロブスカイト層内の粒界に位置する場合においても、同様の結果が得られた。これらのシミュレーションは完全なものではなかったが、本研究によって明らかとなった結果は、トンネル支援電荷トラッピングがPSCにおけるヒステリシスを引き起こす機構の一つであることを示し、なぜヒステリシスが電子および/またはホール輸送材とMAPbI3との界面に依存するのかを説明することができる。これらの結果は、トラップ密度を1013cm-2に減少させるとともにペロブスカイト/ TiO2界面における伝導帯オフセットを減少させるなどの、ヒステリシスを低減しデバイス性能を向上させるための指針を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソフトウェアSILVACO ATLASによるシミュレーションも問題なく進んでいる。また実験結果との関係もうまく整理できている。特にヒステリシスの抑制に目途がたちそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの方針を変更せずに最終年度の研究を行う。また実験上問題になっているヒステリシスに注目し、その抑制方法に注力する予定である。
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Research Products
(1 results)