2016 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノム変化に伴う摂食中枢制御と肥満生活習慣病に関する研究
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16F16725
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 寿郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (80323020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FALLAH OMRAN SIMIN 東京大学, 先端科学技術研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-07-27 – 2018-03-31
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Keywords | ヒストン脱メチル化酵素 / 摂食 / メタボリックシンドローム / エピゲノム / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストン脱メチル化酵素JMJD1Aを欠損させたマウス(JMJD1A-KO)と野生型(WT)のマウスのグループではKOマウスは有意に摂食が更新していた。絶食後の再摂食の量を解析したところ、KOマウスは有意にWTマウスより摂食量が多く、摂食の抑制が顕著に弱いことが見出された。この時のc-Fos発現を見たところ、視床下部(腹内側核)、弓状核や孤束核など摂食制御に関連するところで活性化することが見いだされた。さらに能室内にレプチンの摂食抑制ホルモンを投与する実験では、KOマウスはレプチンの脳室内投与による摂食抑制が消失しており、一方、POMCニューロンの神経伝達物質のa-MSHの摂食抑制はKOマウスで亢進していた。POMCニューロンはレプチンの最大の標的ニューロンであることから、POMCニューロンの活性化がKOマウスで低下している可能性が考えられた。しかし、先の実験結果ではPOMCのmRNA発現は増加している事と合わせて考えると、POMCからa-MSHへのプロセッシング等が障害されている可能性も考えられた。 一方、脳の部位特異的にJMJD1Aを欠損させるためにJMJD1A floxマウスとCamKII Creマウスを掛け合わせ特異的発現低下を確認したが摂食の抑制解除は見られず、Creドライバーマウスの検討が必要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中枢における摂食と摂食に関する神経核の活性発現まで解析されており、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
レプチンの脳室内投与によるcFos染色を行う。またKOマウスのPOMCニューロンのCa濃度測定等を行う。 JMJD1Aの交感神経刺激によりリン酸化するセリン265をアラニンに変異させてリン酸化できない変異マウス(S265A-ノックイン)、逆に刺激なしでも常時リン酸化した状態を疑似するために陰性荷電のアスパラギン酸に変異導入したマウス(S265D-ノックイン)さらには、JMJD1Aの脱メチル化活性を欠落させるために酵素活性中心のヒスチジンをチロンシンに変異導入したマウス(H1120Y-ノックインマウス)の樹立に成功した。これらのマウスを用いて摂食抑制の障害がJMJD1Aのドメイン機能のどこにあるのかを解析する。具体的には生理学解析として、摂食量、代謝ケージでの酸素消費量、などを解析する。またレプチンの脳室内投与によるcFos染色、POMCニューロンのCa濃度測定等を行う。
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Research Products
(1 results)