2016 Fiscal Year Annual Research Report
A typological study of the sound symbolism of ideophones in Japanese, Korean, and English
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16F16729
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
秋田 喜美 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (20624208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KWON NAHYUN 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-07-27 – 2018-03-31
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Keywords | 言語類型論 / 実験心理言語学 / 類像性 / 韓国語学 / 日本語学 / 英語学 / コーパス言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通り、日韓英3言語における音象徴現象を精力的に探究し、国際誌や日本・英国開催の国際学会にて成果発表を行った。さらに、国内外の研究者との共同研究を複数開始した。 出版については、日本語における完全重複型オノマトペ(例:くるくる)と完全重複型の一般語(例:深々)を基準類型論(Canonical Typology)の枠組みを用いて対照し、その成果を言語学の中心的国際誌Glossaに発表した。また、英語の音象徴的単位の普遍性に関する実験研究を国際誌Public Journal of Semioticsに発表した。さらに、韓国語オノマトペの特異な音配列に関する論文と、日本語の完全重複形の生産性を実験的に検証した論文が、言語学の中心的国際誌にて査読中である。 学会発表については、まず、NINJAL国際シンポジウム2016「日本語と世界諸言語のオノマトペ」での招待講演では、英韓両言語の音象徴的単位を基準類型論の枠組みで論ずる研究を報告した。また、類像性に関する国際学会11th International Symposium on Iconicity in Language and Literatureでは、韓国語オノマトペに関するコーパス研究の成果発表を行った。いずれの学会も、選抜論文の出版企画が進行中である。 国内外共同研究としては、受入研究員の秋田喜美氏(名古屋大学)と日本語オノマトペの定義に関する理論的研究を開始したほか、増田桂子氏(中央大学)とは日韓重複形の対照研究を行っている。また、篠原和子氏(東京農工大学)による音象徴に関する通言語的実験プロジェクト(基盤(C))に韓国語代表として協力することとなった。さらに、Jan Auracher、Hideyuki Hoshi両氏(独マックス・プランク実証美学研究所)による心理言語学実験に国内実験者として協力している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
PD期間の2年目については、当初の予定通り、日本語や韓国語などオノマトペが豊富な言語におけるオノマトペの形態的・音韻的特徴を比較考察する。具体的には、以下の4つの段階を想定している。 ステージ1(2017年4~6月)は、日韓オノマトペに広範に見られる重複現象に注目する。これについては、既に1年目に受入研究者と議論を繰り返し、論文出版に至っている。4月の11th International Symposium on Iconicity in Language and Literatureでは、関連研究を行っている増田桂子氏との共同研究のきっかけを得ることができた。現在、10月に開催の25th Japanese/Korean Linguistics Conferenceへの発表応募に向け準備中である。重複形の通言語比較については、さらにもう一人の研究者との共同プロジェクトが立ち上がっている。ステージ2以降については次節で説明する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、形態音韻論的考察や心理言語学的実験により、日韓英それぞれの音象徴現象について詳細な分析を行ってきた。また、基準類型論、ネットワーク形態論、自然形態論など多様な理論的枠組みを用いることで、オノマトペの理論的特徴づけにも寄与してきた。一方で、音象徴現象の通言語研究プロジェクトの進行には、解決すべきいくつかの課題があることもわかってきた。以下では、残りのPD期間内に推進する研究計画をまとめる。 ステージ2(2017年7月~9月)は、Glossaに発表した日本語の重複型オノマトペの理論的規定が韓国語の重複形にも応用可能かを検証する。具体的には、1)どの基準が通言語比較に適用可能か、2)理想的重複に照らして日韓オノマトペの重複は相対的にどう位置づけられるか、3)韓日重複型オノマトペの関係はいかなるものか。これらの考察により、統一した理論的枠組みの中で通言語データを捉えることが可能となるため、理論系国際誌での出版も射程に入ってくる。 ステージ3(2017年10~12月)は、受入研究者とともにオノマトペの理論的規定を発展させ、従来多くの議論を呼んできたオノマトペの通言語的定義に論理的に一貫した基準を提案する。ケーススタディとして、日本語オノマトペの計量的コーパス分析を行い、各種オノマトペのオノマトペらしさを複数の客観的尺度で測定する。この研究は、2018年2月に開催されるBerkeley Linguistics Societyの年次大会に応募予定である。長期的目標としては、韓国語を含む広範な言語のオノマトペを扱える類型論的モデルの構築を目指す。これには国際的に活躍する他のオノマトペ研究者との連携が必要となろう。 ステージ4(2018年1~3月)は、共同プロジェクト(篠原和子氏のプロジェクト他)を締め括るとともに、PD期間2年目に得た研究成果を国内外の学会で発表する。
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Research Products
(5 results)