2016 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀日本における反共主義と社会秩序と民主主義の関係
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16F16730
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
梅森 直之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80213502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOFMANN RETO 早稲田大学, 政治経済学術院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-10-07 – 2019-03-31
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Keywords | 保守主義 / グローバルヒストリー / 日本政治思想史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本における「保守」の特質と意味を明らかにせんとするものである。申請者は、日本における「保守」の生成を、1930年代の反共政策に見いだし、またその展開の重要な契機を、戦後から1960年代にかけての冷戦の生成期に見いだしていく。この時期、日本の知識人、作家、活動家たちが、社会秩序を防衛するという名目で、どのように保守的な勢力をつくり出し、またそれを維持していったのかを、グローバルなコンテクストのなかで、比較の視座を用いながら明らかにしていく。 本年度は、日本において、早稲田大学図書館をはじめとする研究諸機関において精力的に史料調査を進めた。その結果、研究の方向性やそのグローバルな拡がりについても、格段の進展をみた。 2017年1月に開催されたアメリカ歴史学会において、“Nakasone Yasuhiro and the Ideological Origins of Japan’s Nuclear Regime, 1945-1955” の報告を行い、現時点での研究成果を発表した。また、あわせて当該領域の研究者からフィードバックをうけるとともに、国際的な共同研究のネットワークの構築を進めた。あわせてアメリカの研究諸機関において史料調査を行い、日本の保守運動の国際的拡がりについて、新しい知見を獲得した。 研究の出版に関しても、主要な大学出版局と接触し、その出版に関して、好意的なフィードバックをえることができた。 早稲田大学をはじめ、いくつかの大学のセミナーや研究会で報告を行い、研究に関する重要なフィードバックをえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
日本の保守主義を歴史的に検討するうえで、単に思想家や知識人の言説分析にとどまらず、政治家や実業家を含めたネットワーク型の運動体としてそれをとらえ直す方向に研究が深まっていった。またその際に、欧米における国際的な反共ネットワークとの具体的な連携の諸相も明らかとなった。そうしたプロジェクトの概要を、日本および欧米の研究諸機関において報告し、高い評価を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の保守主義についての理解をさらに深めるため、戦後においてそのネットワークを構成した主要な知識人、政治家、実業家、出版人に対して、戦前にまでさかのぼる個別的な調査を進める。 日本の保守主義と国際的なネットワークのつながりを明らかにするために、ヨーロッパやアメリカにおける戦後の反共ネットワークの生成と展開について、さらに研究を進める。 研究の一部を公表することをめざし、論文の執筆を開始する。また、欧米の主要な出版社にライティングのサンプルを送り、具体的な出版の計画を進める。
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