2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16F16762
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白髭 克彦 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (90273854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JEPPSSON KRISTIAN 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2018-03-31
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Keywords | 染色体構造 / 染色体分配 / 転写 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
生命情報の基盤である染色体は、ゲノムDNAと数百から数銭のタンパクから構成される巨大複合体である。生命は基本的にゲノムDNA上の遺伝情報の転写、複製、分配、組換え、修復により運営されるが、染色体はまさにこれらの機能を忠実に行う多機能分子装置である。本研究の目的は、染色体の高次構造制御を介し、染色体諸機能(分配、転写、組換え)に関与するコヒーシン(姉妹染色体分体間接着因子)分子の制御の分子機構を明らかにすることにある。特に、複製の結果生じる2つの姉妹染色体分体間の接着因子として分配に機能する場合と(異なるDNAの接着に機能する場合)、転写因子としてプロモーターとエンハンサー間の相互作業に機能する場合(このような違いがコヒーシン分子そのものにあるのか、どのような制御の違いがあるのか、を明らかにする。 今年度は、アセチル化の有無によって接着に使われているコヒーシンとループ構造形成に使われているコヒーシンの区別をつけようとした。しかしながら、アセチル化特異的な抗体を用いたChIP-seq法によっても両者に違いを見出すことができず、現在染色体の構造をシークエンサーにより判別する方法論(Hi-C法)とChip法との組み合わせにより先の二つの活性を判別しようと考えている。現在は酵母を用いた系で解析を進めているが、ヒトを用いた場合の方が高次構造などは検出しやすく今後酵母とヒトと両方の系で解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
姉妹染色分体間接着に寄与するコヒーシン複合体とクロマチンループを形成するコヒーシンを見分けるべくアセチル化されたコヒーシン(姉妹染色分体間接着に関与する)の局在部位を決定すべくChIP-qPCRに依る検証を行った。その結果、酵母では少なくとも全ての染色体に局在するコヒーシン複合体は、アセチル化されていることが判明した。現在までの結果では、アセチル化の有無がコヒーシンの局在に影響を与えることを示すデータは得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はHi-Cなどの手法を取り入れ、ループ形成に寄与しているコヒーシンと姉妹染色分体間接着因子をシークエンス技法により見分ける方法を取り入れる。パイロット実験を開始している段階にある。
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