2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16F16771
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平田 秋彦 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (90350488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG FAN 東北大学, 材料科学高等研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 金属ガラス / 構造ゆらぎ / 電子回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、金属ガラスに内在するナノレベルの構造ゆらぎについてオングストロームビーム電子回折法を用いて調べた。具体的には、0.4nm程度に集束させた電子線を0.2nm程度のステップ幅で試料上を走査し、一連の電子回折パターンを電子回折マップとして得た。そこで本年度は、得られた実験結果を解釈するために分子動力学法などにより作製した金属ガラス構造モデルに対しコンピュータ上で仮想的に集束電子線を当て、ビーム位置を変えながらオングストロームビーム電子回折パターンを連続的に計算する仕組みを構築した。実際にシミュレーションを行った系は単純な2元系Pd-Si合金である。まず原子数12,000のPd-20at.%Si組成の初期構造を立方体セルに作製し、分子動力学シミュレーションで2500Kの高温で溶解後、種々の冷却速度で室温まで冷却させた構造モデルを作製した。最終的な構造モデルから得られたX線構造因子S(Q)は過去の文献で報告されているものと大きな差異はなかった。この構造モデルに対して上述のオングストロームビーム電子回折パターンを、場所を変えながら連続的に計算したところ、各局所領域から得た電子回折パターンにはガラス特有のハローリングパターンではなく回折スポットからなるパターンがどの場所からも見られた。また、パターンの中には結晶のような高散乱角側まで続く周期的なスポットパターンが見られるものもあり、これに対応する構造を調べるとガラス構造の一部でありながら比較的秩序度の高い領域であることが明らかとなった。このような回折パターンは実験でも観察されるが、これが不均一構造とどのような関係にあるかはまだ不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた金属ガラスの相分離組織よりもさらにスケールの小さい構造ゆらぎを対象に研究を進めている。当初と研究の方向性は少し変わったが、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実験結果とシミュレーションによる結果を比較検討し、金属ガラスの構造ゆらぎに関して明らかにしていく予定である。合金系としては単純なPd-Siに着目して行う。
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