2017 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な開発に向けた国際都市の空間構造の動的比較・評価分析手法の構築
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16F16782
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
布施 孝志 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80361525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PEREZ JOAN 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 空間構造 / 都市間比較 / 評価手法 / 空間統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、象徴的である国際的な沿岸都市を対象とし、都市内レベルの様々な要因や特性において共通する空間構造と時間的誘因を同定することを目的とする。ケーススタディを通した都市の内部構造の同定により、都市機能の統合、交通パターン、社会経済的発展などに関係する空間的不均衡を見出し、そして理解することが可能になる。分析においては、特に、都市の発展に影響を及ぼした機会だけではなく、その潜在的リスクの評価も行うことが特徴である。空間構造の同定により、空間的差異を引き起こす主因の役割を明確化することができ、その結果、持続可能な都市開発への提言に寄与することが期待される。本研究では、都市間の比較分析を通して、構造の不変的な特徴や空間依存の特徴を抽出する。 今年度は、特に、大阪とマルセイユに着目した。空間情報科学研究センター(日本)およびニース大学(フランス)との共同研究により、比較分析のためのデータベースが利用可能になった。理論的なコンセプトモデルに基づき、分析データの選別を行い、都市の基礎構造・ネットワーク中心性・社会的人口構成の3カテゴリーへの分類を行った。分類のための都市の基礎構造の自動特定手法を開発するとともに、その分析アルゴリズムを構築した。これらの成果は2編の国際会議において公表している。ネットワーク中心性に関しては、延伸性や直線性等の指標を用いた分析アルゴリズムを開発した。特に大阪におけるデータは膨大なため、まずは、対象範囲を限定し、提案手法の有効性を確認した。また、提案手法を適用し、2都市間の比較分析を行った。ここでは、均一性を評価するためのクラスタリング手法の開発も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに、理論的なコンセプトモデルの設定を行い、それに基づき、都市の基礎構造分類・特性分析手法、およびネットワーク中心性分析手法の開発を行うことができた。データの利用可能性や精度の面から、比較対象を一部変更して分析を行ったが、コンセプトモデルから各種分析手法の検証も行うことができた。また、研究期間中に築いてきた関係機関との連携も有効に機能し、分析のためのデータベースとの利用可能性も高まった。以上より、当初の計画通り、順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
既に都市の基礎構造やネットワーク中心性の分析は、その有効性も確認でき、一定の成果をおさめている。これらの成果は、論文としても公表している。今後は、それらの成果に加え、社会人口構成に関するケーススタディを行い、クラスタリングに基づく分析手法を開発する。さらに、これまでに開発した手法と次年度の手法の全手法を統合する予定である。そして、これまで分析を行ってきた大阪およびマルセイユのフィールド調査により、分析結果のさらなる検証を行う予定である。これらにより、都市化パターンやその動態への知見が得られることが期待される。また、既に良好な連携をしている関係機関との持続性確保のため、セミナーや共同研究等を進めていく予定である。
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