2017 Fiscal Year Annual Research Report
Assessing Sustainability of Substitution of Capitals on Human well-being in a peri-urban landscape
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16F16791
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 禅 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20462492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BASU MRITTIKA 東京大学, 農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 自然資本 / 関係価値 / 人間の福利 / 都市化 / 都市周辺地域 / 地域愛着 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までは先行研究のレビューを幅広く行い、研究の枠組を吟味するとともに、2017年1月~2月の間に研究対象地での概査を実施した。研究枠組ならびに概査の結果をもとに、アンケート調査票を作成した。アンケート調査項目は次に示す三部に分けられる。アンケート調査の第一部では、世帯構成、教育、健康状態、職業、収入等の基本情報について、第二部では、居住地域の開発による、場所の感覚(sense of place)、象徴的な意味合い(symbolic meaning)、社会的紐帯(social cohesion)等の関係性の変化について、第三部では、生活や人生そのものに対する評価や満足度といった人間の福利の側面について、調査対象世帯の情報・意見の記入を求めた。アンケート調査は、急激な都市化を経験しつつあるインド・コルカタ郊外の小規模な村落を対象に、2017年の7月下旬~9月初旬にかけて実施した。対象地に古くから住民(旧住民)はこれらの村落に居住しており、都市化・郊外開発により流入してきた新住民は新たに開発された高層団地に居住している。アンケート調査は、調査対象地の12の村落に居住する209の旧住民世帯を対象として実施した。現在までに調査データの入力、集計処理、予備的な解析を完了した。また、アンケート調査と並行して衛星画像解析を行い、研究対象地での都市化により過去40年の間にどのような土地利用・被覆変化が生じたかの解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
詳細な先行研究のレビューを終え、研究対象地における209世帯を対象としたアンケート調査を実施し、調査活動を大きく進捗させた。アンケート調査の開始当初、多くの世帯が調査への参加を拒み、調査の趣旨に対する関係者の理解を得ることに時間を要したが、現地での入念な説明、働きかけにより、最終的には十分な回答を得ることができた。これまでに、回答の入力、集計処理および予備的な解析を完了しており、今後約六カ月の期間で、本解析を行い、解析結果を学術論文として取りまとめる予定である。この他にも、フェローは、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)」の地球規模評価報告書の第四章の執筆にも執筆協力者(contributing author)として貢献するなど、精力的に研究に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、調査結果の解析と統計モデルの構築を進めており、今後約3ヶ月に三本の学術論文の執筆、投稿、1件の書籍の分筆を予定している。一連の論文は、郊外における都市開発が引き起こした、旧住民らの場所の感覚、象徴的意味、社会的紐帯等の「関係価値(relational value)」の変化が、彼ら/彼女らの福利に対しどのような影響を与えているかの解明を目指している。現在、特に都市開発がもたらした「場所の感覚(sense of place)」への影響に関する研究論文の執筆を進めている。この他にも、2018年6月14日~16日に香港の香港理工大学で開催予定の第16回International Society for Quality-of-Life Studies(ISQOLS)(「生活の質」研究のための国際学会)2018年度年次会議での研究発表を予定している。今後は、研究対象地の行政担当者への調査結果の報告と、補足的なデータ収集をのため2018年7月に調査地を再度訪問する予定である。
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