2017 Fiscal Year Annual Research Report
Social physiology of nest relocation in Diacamma sp.
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16F16794
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
辻 瑞樹 琉球大学, 農学部, 教授 (20222135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAURENT MICHEL-OLIVIER 琉球大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 動物行動学 / 生態学 / 意思決定 / 自律分散 / 情報伝達 / 社会性昆虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
アリは陸上生態系で重要な位置を占め、その振る舞いを正しく理解することは、基礎応用両面で重要である。「定着的な生物」というイメージとは異なりアリはしばしば巣の引っ越しをする。しかし、そのタイミングと移動先決定に関与する要因やダイナミクスは一部の特殊な事例を除きほとんど未解明である。本研究では、辻らが動物の社会行動研究の新規モデル生物として研究してきたトゲオオハリアリを用い、引っ越しがどんな条件で、どの個体が集めたどんな情報を用い、それが巣内でいかに共有され、どんな意思決定手続きを経て達成されるのかを実験的に明らかにする。これは自律分散・自己組織化という社会生理学的観点と最適移動戦略という適応的観点をつなげる研究である。また野外で巣の移動が自種や他種との相互作用でアリ個体の生存率・増殖率に与える影響を実験的方法で調べ、引っ越し行動を群集構造の決定機構と関連させる知見を得る予定である。第二年度は初年度に続き室内でトゲオオハリアリに引っ越し行動を誘起させる実験装置の設置を行った。大小2つの大きさの逃亡防止付きアリーナ設定し、これをビデオで連続撮影する装置を開発した。現在内部に人工巣を配置し、巣を撹乱(水分除去)した後に起こることが知られる引っ越し行動を、個体を完全に識別しながらビデオ観察した。このアリは過去の巣を好んで再利用することが判明した。再利用すべき巣は、少数のタンデムリーダーが持つ個体情報と巣場所マーキング情報で察知されることが判明した。その相対的重要性については今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビデオ撮影による個体識別も完全にできるようになりおおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はほぼ計画通り進んでいるので、今後は同じ材料生物を扱う学部卒論生の相補的な野外研究とうまく組み合わせることで、研究の効率化をさらに図る予定である。
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Research Products
(1 results)