2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16F16811
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
根本 香絵 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (80370104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LO PIPARO NICOLO 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 量子情報 / 量子メモリー / 量子鍵配送 / 量子中継 / 量子通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子中継システムにおいて、より少ないリソースでより高速な通信を行うことは、必要となる量子メモリーや単一光子を生成する負荷を考えると一層重要である。これら物理的なリソースの低減化を可能にする量子中継システムのあり方を検討するために、どのような量子メモリーの導入方法が効率的であるのかを議論した。これまでの量子メモリーを用いた量子中継システムを雛形にして、その中での量子メモリーの使用方法を再考した。新しい量子プロトコルを開発することで、量子マルチプレキシングな方法を提案した。この方法により、より少ない単一光子を用いて量子中継システムを構築できることが示された。また、NVセンターを用いた量子メモリーをこのシステムに用いることを考え、その物理的な条件を検討した。 さらに、このシステム上でのエンタングルメント精製について解析した。Deutschによるエンタングルメント精製を基本形として、量子マルチプレキシング方法を用いた場合のエンタングルメント精製を考え、レートの向上を確認した。システムの性能評価としては、生成レートをシステム全体に必要となる物理的なリソースで規格化した生成レートを用いることとした。この規格化された生成レートを用いてエンタングルメント精製方法の比較を行った。量子マルチプレキシング方法を用いた場合、Deutschのエンタングルメント精製方法と比較して、規格化された生成レートに対して最適化したエンタングルメント精製方法で規格化された生成レートの向上が可能であることを数値的に示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
より少ないリソースでより高速な通信を行うという、量子中継システムの実現上の課題に対して、量子マルチプレキシング方法を用いた量子通信方法という新しい提案を行うことができた。また、エンタングルメント精製方法についても、実現化により自由度の高い実装方法となっており、これまでのNVセンターを中心とした実現化方法の検討・解析と、量子中継システムの構築が融合してきている。 また、量子マルチプレキシング方法は、量子通信システムの構築において、今後新しい方向性を示すものでもあり、来年度にさらなる発展が大いに期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までにNVセンターをモデルにした量子メモリーを用いた量子通信システムで、新しい成果が出てきているので、これを元に今後はさらに発展させる予定である。これまでと同様に、NVセンターの他、SiVなどのカラーセンターも考慮に入れながら、量子メモリーによる利点と同時に、実現化上の制約やその解決策なども検討しながら研究を進める。また、これまでの研究成果をさらに発展させ、通信量子信号の符号化など、新しい量子プロトコルの導入も考え、通信システムの性能を向上させる方法について多角的に検討する。量子通信デバイスとしての他の通信アプリケーションへの応用についても積極的に取り組み、量子ネットワークへの拡張を検討する。 平成30年度は、本研究計画の最終年度となるので、国際会議等での研究成果発表にも注力し、研究成果の周知を行っていく予定である。
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