2016 Fiscal Year Annual Research Report
西部北太平洋における海洋エアロゾルの水分量、吸湿特性、CCN活性の長期観測
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16F16905
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 名誉教授 (70201449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BOREDDY REDDY 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 西部北太平洋 / 大気エアロゾル / 吸湿特性 / 長期変動 / 有機炭素 / 黒色炭素 / 水溶性有機エアロゾル / 水溶性有機炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジアからの汚染物質の放出は、冬と春の時期における西部北太平洋の大気エアロゾルに深刻な影響を及ぼす。時には、太平洋を越えて北アメリカにまでその影響は到達する。この影響はこの数十年間に地球温暖化など環境変化に伴って変化が出てきている可能性がある。しかし、西部北太平洋の大気エアロゾルの化学組成に関する長期観測はこれまでになかった。本研究では、小笠原諸島・父島における長期間にわたる大気エアロゾルの観測(2001-2012)で採取した大気エアロゾル試料の化学分析、すなわち、有機炭素(OC)、黒色炭素(EC)、水溶性有機炭素(WSOC)を測定し、同時に、微粒子の吸湿特性の測定をおこなった。これらの結果より、西部北太平洋における微粒子の吸湿特性の長期変動を議論することを目的とした。また、有機エアロゾルの組成、無機イオンの解析から、季節変化の特徴を解析した。 その結果、OC/EC濃度比、WSOC/OC濃度比は、2001年より増加傾向にあることがわかった。また、WSOCもわずかに増加していることがわかった。このような増加傾向は統計学的に有意なものであった。この結果は、人為起源および自然起源の揮発性有機化合物(VOC)が増加していること、また、VOCの光化学的酸化反応がより進んでいることを示唆している。また、微粒子の吸湿特性と有機物との間には弱い正の相関があることがわかった。このことは、微粒子の吸湿特性は無機物だけでなく、水溶性有機エアロゾルによってもコントロールされていることを示唆している。エアロゾルの吸湿特性を測定し、その長期変動を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
28年度中に、本研究の成果が論文として国際誌に4報出版された。これは当初の計画以上の進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、WSOC等の増加傾向を支配している原因について、気象情報などを取り込み、また、無機イオンの基づく吸湿特性・雲凝結核活性のモデル計算を行うことにより解明していく。
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Research Products
(12 results)