2017 Fiscal Year Annual Research Report
日本における中国・朝鮮医学とイスラム世界におけるギリシア・ローマ医学の比較研究
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16F16906
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉田 英明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90179143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHAN MOHAMMED 東京大学, 総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | 古代日本 / イスラム文明 / 医学史 / 書物史 / 中世史 / 異文化間交流史 / 比較史 / アジア史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度には,ムジーブ・カーン氏が英国日本研究協会日本部で「初期日本における批評:知的挑戦の一事例としての『医心方』」と題した研究発表を行い,原稿を国際雑誌に掲載済み。西洋の宗教と医学に関するJohns Hopkins University Press刊行の学術書に,イスラム文明における宗教と医学の文献を紹介した章を寄稿。ラーズィーの後継者であるイブン・スィーナー(980-1037年)の二つの書物を比較した論文を国際雑誌に掲載した。 そのほか,イギリスの国際中世史研究協会ではインド医学が『医学集成』と『医心方』の伝統にどのような影響を与えたか,英国科学史研究協会では両著の引用方法が先行する文献にどう現れているかについて報告した。同時に,ケンブリッジ大学図書館と付属ニーダム研究所の図書館にて資料調査。そのさい,Palgrave Macmillanとは「非西洋の歴史」,Amsterdam University Pressとは「女性と医学」,Edinburgh University Pressとは「イブン・スィーナの『医学の詩』」に関する書籍の企画についてそれぞれ打ち合わせた。 2017年11月,ベルギーの文化学の学会にて,古代日本のジェンダーとセクシュアリティについて研究発表。2018年2-3月にニューヨーク市のコロンビア大学とニューヨーク大学,その他の研究所の図書館で資料調査を行い,中世イスラム文明の医学に関する写本を調査。 Studies of the Weatherhead East Asian Instituteシリーズのために,『医心方』を主題とした学術書の原稿を提出し,現在修正中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ムジーブ・カーン氏が計画通りに研究を進めている。『医心方』に関する書籍を英語の学術書として刊行するため,現在海外の出版社で企画を検討中。日本語版の企画書も国内の出版社にて検討中。比較史研究の書籍企画書は作成を完了,関連する論文執筆も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ラーズィーと丹波康頼の両著に関する比較研究の継続。また,両者が代表する非西洋世界を中心とした「非西洋の歴史」という企画を推進する。 1)両著とそれらに後続する書物との比較研究を,2018年に学術書の一章としてUniversity of Pittsburgh Pressより出版する。2)両者の活躍した時代の伝統とそれに先行する伝統の概略を,2018年に雑誌『医療社会史研究』に中国語で寄稿予定。3)両著とその周辺の医学伝統における医学教育についての研究を,2019年に学術書の一章としてMcGill-Queen's University Pressより刊行する。4)康頼の『医心方』に関する研究を書籍化。2019年の出版を目標にしている。5)両著の比較研究に関する書籍の企画書を出版社に提出。2020年の出版を予定。6)康頼の『医心方』に関する研究を日本語の新書か選書として,2018年中に出版することを目指す。7)「非西洋の歴史」の企画書をPalgrave Macmillanへ提出,2020年の出版を目標にする。
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Research Products
(7 results)