2007 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマター:多自由度・階層系の協同的機能発現の新しい基本原理
Project/Area Number |
16GS0203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 肇 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (60159019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 武昭 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (20332596)
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Keywords | ソフトマター / 多自由度・階層系 / 階層間の動的結合 / 粘弾性相分離 / 二秩序変数モデル / 外場による制御 / 液体・液体相転移 / ガラス転移 |
Research Abstract |
ソフトマターの最大の特徴は、幾重にもわたる動的階層構造にある。我々は、たんぱく質に代表される一見のろまな生体物質が多様かつ優れた機能を効率的に発現する鍵は、大きな自由度を階層的に内包した系に特有な協同的機能発現の様式にあると考えている。この協同性、即ち階層間の動的結合を担う最も本質的かつ重要な因子は、最低次階層を担う液体の流動性であると考えられるが、その具体的な役割は、非局所性に起因した困難さのため未解明のままであった。また、我々は、従来の常識に反し、液体自身にも動的階層性が普遍的に存在し、それこそが液体における未解明の問題を解き明かす共通の鍵であると考えている。そこで本研究では、動的階層構造という概念に主眼を置き、ソフトマターや液体(多自由度・階層系)における動的結合と協同的機能発現の基本原理を明らかにすべく、我々が新しく開発した実験・シミュレーション手法を駆使し研究を行ってきた。 本年度得られた主な研究成果をいくつか述べる。(1)コロイド・高分子混合系の相分離・臨界現象の様子を、レーザ走査共焦点顕微鏡を用い一粒子レベルで検出し解析することにより、単粒子レベルのミクロな振舞いと複数の粒子によるマクロな協同的振舞いをシームレスでつなげること成功した。(2)両親媒性分子水溶液系のスポンジ・ラメラ構造相転移において、自発的なマルチラメラベシクル(オニオン構造)の形成の様子を初めて詳細に観測した。(3)空間的に閉じ込められた単成分分子性液体の液・液転移の様子を観察し、その臨界的な振舞いが閉じ込め効果により抑制され転移点が下がることを示した。(4)相分離する二成分流体の中にコロイド粒子がある場合、相分離に伴う拡散場と流れ場の動的な結合により、粒子間に強い引力が過渡的に生じることを数値シミュレーションによって示した。
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Research Products
(4 results)