2005 Fiscal Year Annual Research Report
機械受容チャネルを核としたメカノバイオロジーの創成
Project/Area Number |
16GS0308
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽我部 正博 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10093428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 建二郎 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 助教授 (10230806)
成瀬 恵治 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (40252233)
辰巳 仁史 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20171720)
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Keywords | メカノバイオロジー / メカノセンサー / 細菌SAチャネル / 心筋SAチャネル / 細胞骨格 / 蜘蛛毒 / チャネルブロッカー |
Research Abstract |
細胞の機械刺激受容・応答能は生命現象を支える根幹機能であり、基礎生物学だけではなく、医学の発展に欠かせない重要な研究対象であるが、その分子機構は全く不明である。、本研究の目標は、現在唯一確定しているメカノセンサー、SAチャネルを機軸に、1)SAチャネル活性化(開閉)機構の解明、2)機械受容における細胞骨格の役割解明、特に力の方向(ベクトル)センサーであることの検証、および、3)新規SAチャネルブロッカーの設計合成、4)さらには機械受容が核となる新規な細胞応答の実験系の確立を通して、"メカノバイオロジー"という新領域の基盤形成を行うことを目標にしている。本年度は以下の4項目について成果が得られた。 1)細菌SAチャネルMscLの開チャネル変異体蛋白質の無細胞合成系を確立し、これまで未知であった開構造の電子顕微鏡による1分子構造観察に成功した。この結果を元に分子動力学計算を試み、チャネル活性化の原子レベルでのモデルを構築しつつある(吉村、曽我部)。 2)セミインタクト細胞とアクチン線維のin vitroアッセイ系を開発して、細胞骨格(ストレス線維)自身が力の方向(センサー)であるという今期最大の成果を得た(辰巳、曽我部)。 3)我々が同定した心筋SAチャネルSAKCAに対する蜘蛛毒GsMTx-4と新規合成したペプチド抑制剤(TVP003)の抑制機構を解析し、これらがチャネルのボアを塞ぐのではなく、メカノゲーティング機構を修飾して活性を抑制することを明らかにした、またこの抑制剤の心臓に対する効果を調べるための環流心アッセイ系を開発した(成瀬、曽我部)。 4)神経ステロイドによって海馬シナプス可塑性が急性に上昇することを発見した。この背後にはアクチン重合によるスパインの膨大があるので、今後、シナプス可塑性と細胞力覚という全く新しいテーマへと発展する可能性が出てきた(曽我部)。
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