2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖生物学と神経科学の融合による神経糖鎖生物学領域の創成
Project/Area Number |
16GS0313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡 昌吾 京都大学, 医学部(保健学科), 教授 (60233300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 信行 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10110610)
小堤 保則 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70205425)
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 助手 (60263125)
川崎 ナナ 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (20186167)
石 龍徳 順天堂大学, 医学部, 講師 (20175417)
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Keywords | メダカ / 糖鎖遺伝子 / HNK-1糖鎖 / グルクロン酸転移酵素 / 硫酸基転移酵素 / 遺伝子欠損マウス / アンチセンスオリゴヌクレオチド / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究は糖鎖機能に基づく神経発生の原理や神経機能維持機構の総合的理解を目指すものである。本年度は以下の2点について研究を行った。 I.メダカを用いた神経発生に関与する糖鎖の構造と機能に関する研究 メダカ発生過程で変化する糖鎖を質量分析を用いた定量的な解析を行ったところ高マンノース型の糖鎖は発生過程で増加する傾向があり、複合型の糖鎖は時期特異的に発現のピークを迎えるものが存在することが明らかとなった。そこで複合型糖鎖の生合成に重要なガラクトース転位酵素のcDANクローニングを行いメダカにおける全長の塩基配列とアミノ酸配列を明らかにした。その情報を基にモルホリノアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた遺伝子ノックダウン実験を行ったところ、ガラクトース転位酵素遺伝子ノックダウンメダカにおいて胚の短縮、目の融合、頭部の形成不全などの表現型が観察された。特に発生過程で重要な細胞運動の一つである収斂伸長運動に重要な機能を担っていると考えられる結果が得られた。 II.HNK-1糖鎖機能の分子機構解析 HNK-1糖鎖の発現調節機構の解明を目指し、現在までにGlcAT-PとGlcAT-Sの結晶構造解析に成功した。今年度は、結晶構造から得られた情報を基に両酵素の基質認識に重要なアミノ酸を入れ替えることにより両酵素の特異性が変化することを明らかにした。さらにHNK-1糖鎖生合成の最終段階を触媒する硫酸基転移酵素(HNK-1ST)の結晶構造解析を目指し、動物細胞を用いたHNK-1STの発現系を確立した。また神経可塑性におけるHNK-1糖鎖の役割を解明するため、野生型およびGlcAT-P遺伝子欠損マウスから海馬を摘出し、初代海馬神経細胞の培養を行った。野生型と遺伝子欠損マウスの培養細胞を様々な分子に対する抗体で染色し比較したところ、遺伝子欠損マウス由来の海馬神経細胞ではスパインの形成不全を示す結果が観察された。
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Research Products
(5 results)