2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖生物学と神経科学の融合による神経糖鎖生物学領域の創成
Project/Area Number |
16GS0313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡 昌吾 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (60233300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小堤 保則 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70205425)
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 助教 (60263125)
川崎 ナナ 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (20186167)
石 龍徳 東北大学, 医学部, 准教授 (20175417)
YONG Ma 立命館大学, COE推進機構, 准教授 (00378788)
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Keywords | メダカ / 糖鎖遺伝子 / HNK-1糖鎖 / グルクロン酸転移酵素 / 硫酸基転移酵素 / 遺伝子欠損マウス / アンチセンスオリゴヌクレオチド / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究は糖鎖機能に基づく神経発生の原理や神経機能維持機構の総合的理解を目指すものである。本年度は以下の2点について研究を行った。 I.メダカを用いた発生に重要な糖鎖の機能解析 昨年度に引き続きガラクトース転位酵素(B4GalT2)遺伝子の合成する糖鎖に関する機能解析を行った。細胞移植実験により本酵素が作る糖鎖は細胞自立的に伸長運動に関与することが明らかとなった。またBcl-xLmRNAの注入によってアポトーシスを抑制しても、B4GalT2遺伝子ノックダウンによる表現型が同様に観察されたことから、アポトーシスは胚の短縮などには関与していないことが明らかとなった。 II.HNK-1糖鎖機能の発現調節と機能発現の分子機構解析 神経系におけるHNK-1糖鎖の生合成には主にGlcAT-Pが関与している。GlcAT-Pには選択的スプライシングによって2種類の細胞質領域の長さの異なる酵素が合成されることが知られている。それぞれの酵素の細胞内での分布や酵素活性などを調べたところ、細胞質領域の短い酵素は長いものに比べ、酵素自身の比活性は同程度であるにもかかわらず、細胞内においてより多くのHNK-1糖鎖を合成することが明らかとなった。。その機構として細胞質領域の短い酵素は長いものに比べ、ERからゴルジへの輸送を制御するタンパク質(Sar1-GTPase)との相互作用がより強く、その結果、酵素がERから、より効率的にゴルジへ輸送されていることによると考えられた。これらの結果は生体において、HNK-1糖鎖はその生合成酵素のみならず輸送に関与するタンパク質などとの分子複合体によって厳密な制御が行われている可能性を示すものである。
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