2016 Fiscal Year Annual Research Report
高校生によるICTを活用した議論に必要なスキルの同定
Project/Area Number |
16H00224
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Research Institution | 宮城県仙台第三高等学校 |
Principal Investigator |
菅井 道子 宮城県仙台第三高等学校, 非常勤講師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 議論スキル / 教育用SNS / 協調的議論 |
Outline of Annual Research Achievements |
高校生を対象として, ICTを活用した協調的問題解決を行う際の議論に必要なスキルや制約条件を検討することを目的として, 教育用SNSを介した議論の授業実践を行った。授業では, 教育用SNS上で課題についての議論を行い, 議論の振り返り(省察)を書くまでを1回の演習として, 2回の議論演習を行った。対照群として, 対面での議論演習を2回行う群と, 1回目に対面で, 2回目に教育用SNS上で議論演習を行う群を用意した。 授業前後に実施した議論に関連するスキルについての自己評価, 議論振り返り後の生徒の感想, 議論演習の発言内容(教育用SNSのログ, および対面の議論をテキスト化したデータ)を分析した結果, 以下の点が明らかになった。 1. 教育用SNSでの協調的問題解決の特徴 (1)発話数が対面に比べて少ないものの, 課題成績はほぼ同程度となった。 2. 議論に関連したスキルについて (1)教育用SNSで議論した群と対面で議論した群を比較した結果, どちらの群も, 情報の取捨選択を適切にできたと実感していた生徒ほど論証ができていたと感じていた。 (2)振り返りを伴う議論演習を複数回実施することで, 表現力に対するメタ認知が働いていた。 以上の知見から, 教育用SNSでの協調的問題解決を実施する際には以下の事項に留意する必要があることが示唆された。 (1)グループ人数は3~4人が適切であり, 5人以上では社会的手抜きをする可能性がある。 (2)発言が可視化される利点があるため, 主張とそれを支える根拠・論拠を十分に検討したうえで投稿させる。 (3)生徒が未経験の議論方法であることから, 導入当初は戸惑うことが予想される。教師は教育用SNSの利点を十分に理解して, それを活かした議論支援をする。 なお, これらの成果は, 教育用SNSを活用した協調的問題解決の教育実践に際して授業設計や評価方法の立案, 議論支援システムの構築に資することが期待される。
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