2016 Fiscal Year Annual Research Report
金属複合体を形成可能なウレタン結合を有する生分解性セルロース誘導体の創生
Project/Area Number |
16H00408
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
岩見 裕子 大分大学, 工学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | セルロース / 金属錯体 / 環境浄化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究の目的) 近年, 原発事故や金属流出事故などの人的事故によって, 土壌汚染が誘引される事例が問題となっている. 福島原発事故後の放射能汚染土壌より検出される主な放射性物質にヨウ素(131I)とセシウム(134Cs, 137Cs)がある. セシウムは土壌の層状ケイ酸部に吸着されやすく, 現在は表層土の削り取りで, セシウムの除去を行っているが, この除去作業に伴い汚染土の量も増えるため, 汚染土からセシウムを効率よく回収・安定化する技術が必要であり, 現在さまざまな観点から模索されている. 金属微粒子の回収のための環境浄化用材料には無機系, 合成高分子系があるが, 放射能のため作業後の減量化などの処理が大変である. しかし, 天然物を主成分とする材料なら, 作業後に微生物による減量化が可能となる. 本研究では, セシウムを吸着させる担体(生分解性セルロースウレタン)の開発を目指し, 高分子の化学修飾による担体の作製, 担体の金属イオンとの結合形成および生分解について検討した. (実験・結果) 1. ウレタン結合を有する高分子化合物の作製 主鎖型液晶ポリウレタン(LCPU), セルロース鎖の側鎖にウレタン結合を介して置換基を導入したセルロース誘導体(HPC-NP), HPC-NPのウレタン結合をチオウレタン結合に代えたセルロース誘導体(HPC-TP)の3種類を作製した. 2. 高分子化合物と金属イオンとの錯形成 LCPUはネマチック相を形成し, 金属イオンと錯形成した. 錯体の赤外吸収スペクトル測定は, 銅イオンとウレタン結合との錯形成を示した. 錯形成は, 熱的性質に強く影響した. HPC-TPはセルロースとは異なり, 銅イオンと容易に錯形成した. これはチオウレタン結合が銅イオンと相互作用するためである. 3. HPC-NPのセルロース分解微生物による積極的生分解試験 HPC-NPは3ヶ月間の生分解試験で重量がわずかに減少した(重量減少率7.5%).
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Research Products
(2 results)