2016 Fiscal Year Annual Research Report
診療科別調査によるC. difficile関連下痢症発症予測の可能性検証
Project/Area Number |
16H00581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 諒 東京大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | Clostridium difficile / 抗菌薬 / AUD |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の背景・目的】 本研究では、当院における診療科毎のClostridium difficile(CD)関連下痢症(CDAD)発症リスクおよび抗菌薬使用状況をレトロスペクティブに調査・解析することで、診療科別のCDAD発症リスクを局所的な抗菌薬使用サーベイランス結果に基づき予測することが可能かを検証することを目的とする。 【研究方法】 1. CDAD発症率の調査方法 : CDADの定義は、過去の文献を参考に①入院後少なくとも48時間が経過、②toxinAもしくはBが陽性、③1日3回以上の頻度での水様便や軟便、の全てを満たす症例とした。診療科毎のCDAD発症率は、発症患者が入院している診療科の延入院日数を基に、月毎あるいは年毎に算出した。なお、調査期間はデータが得られた2013年度から2015年度とした。 2. 抗菌薬使用サーベイランス方法 : 調査対象期間における各診療科のAUDおよびDOTを当院診療システムに格納された各抗菌薬の処方歴を基に算出した。また、並行して1日当たりの実際の抗菌薬投与量(Actual Daily Dose : ADD)、平均抗菌薬投与日数(mean Days of Therapy : mDOT)も算出した。 3. データの統計的解析 : 上述の手順で算出した診療科毎のサーベイランス指標と診療科毎のCDAD発症率の相関性を解析した。 【研究成果】 各診療科のCDAD発症率を比較した結果、一部の診療科に偏ってCDAD発症率が高い傾向にあった。CDAD発症率が高かった上位3診療科の年毎のAUD、DOT、mDOT、ADDを算出し、CDAD発症率との相関性について解析した結果、一部の診療科でAUD及びDOTとCDAD発症率は正の相関を示し、ADDとCDAD発症率は負の相関を示した。本検討結果から、診療科別の局所的抗菌薬使用サーベイランスはCDADの発症を予測できる可能性が示唆された。
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