2016 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝難病である多発性嚢胞腎の治療や予後に評価するバイオマーカーの探索研究
Project/Area Number |
16H00599
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
陸 彦 順天堂大学, 泌尿器科, 研究員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | ADPKD / Endothelin-1 / Kidney injury molecular 1 |
Outline of Annual Research Achievements |
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は進行性疾患であり、加齢とともに腎嚢胞および腎容積は直線的に増大する。しかし、40歳代前後まで多くの場合は腎機能が保たれていても腎容積は増加し、ADPKDの病勢としては進行していく。したがって血清クレアチニンや推定GFRなどの腎機能評価より、ADPKDの治療効果の評価や予後予測、病勢を適切に反映するバイオマーカーの必要性が、従来よりも極めて重要です。 多発性嚢胞腎患者の治療効果や予後に関連するバイオマーカーを探索するため、Tolvaptanで治療を受けている2名の多発性嚢胞腎患者さんから同意を得て、2014年8月から2016年7月までに毎月1回採血し、採集した検体を室温3,000gにて10分間遠心し、上清を2mlチューブに分注し実験するまでに-30℃にて保存する。1名20検体の全部で40検体からターゲット蛋白Endothelin-1, Kidney injury molecular 1の発現を酵素免疫測定法(ELISA)にて解析しました。 その結果、患者1と患者2のEndothelin-1とKidney injury molecular 1の発現量はそれぞれ1.34pg/ml±0.24(SD), 404.9pg/ml±259.3(SD)と2.22pg/ml±0.37(SD), 194.5pg/ml±69.2(SD)で、2名分全体で1.79pg/ml±0.54(SD), 294.1pg/ml±211.4(SD)でした。Endothelin-1とKidney injury molecular 1の発現量の変化がそれぞれ採血時点のeGFRと比較解析して有意な相関が認められました : Endothelin-1とGFRはの相関係数r=0.89(**p<0.01), Kidney injury molecular 1とeGFRの相関係数はr=0.45(p=0.005)。腎不全進展時におけるEndothelin-1の産生亢進が腎障害の主な原因の一つである、Kidney injury molecular 1は腎尿細管壊死のバイオマーカーの一つとして有用性が示されている、今回の結果より腎機能の予測因子としてTolvaptanの治療評価としての有用なバイオマーカーである可能性を示唆されています。今後の課題はさらに症例を増やし、また正常コントロール検体と比較解析して一定の結果が得られるかをさらに検証することが必要です。
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Research Products
(1 results)