2016 Fiscal Year Annual Research Report
イオン導入法を応用した医原性知覚過敏症に対する能動的疼痛緩和療法
Project/Area Number |
16H00684
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小澤 雅彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | TRPチャネル / 象牙芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的 近年、ホワイトニングやセラミックを用いた審美治療が増加しているが、その反面、偶発症としての“知覚過敏”発症が問題となっている。この医原性知覚過敏症状が発症した場合は、歯髄の自己治癒力による疼痛軽減を期待した不確実な待機的療法あるいは歯髄除去法だけが選択されうる。そのため、知覚過敏症状に対する疼痛を軽減させる確実な能動的治療法が待望される。本研究では冷刺激受容TRP(Transient Receptor Potential)チャネルを介した感覚受容メカニズムに着目し、意図的に冷刺激受容機構を遮断させたい。具体的には、冷刺激受容TRPチャネル阻害因子を硬組織外層から歯髄内部にイオン導入を用いて送達することにより、歯髄の冷刺激感受性を低下させる。 研究方法 ラット臼歯に象牙質窩洞形成を施し、帯電させた冷刺激受容TRPチャネル阻害因子を象牙質経由で歯髄内に送達する。術後3日において、冷刺激受容TRPチャネルの発現部位を免疫染色によって、発現量をリアルタイムPCRによって解析し、イオン導入を行わない対照群と比較する。 研究成果 当初、ラット窩洞形成モデルでの実験を想定していたが、歯牙の小さく窩洞形成量の規定が困難であることからヒト歯髄での実験に変更した。ヒト歯髄ではう蝕の無い健全歯髄を対象とし、象牙芽細胞における冷刺激感受性TRPチャネルの発現について検証した。ヒト象牙芽細胞においてはTRPA1の発現を明確に認めることは出来なかったが、TRPM8がその他の歯髄細胞に比べ多く発現していることを明らかにした。また、深いカリエスを有する歯から単離した象牙芽細胞を用いた解析では、健全歯では認めなかったTRPA1の発現を検出出来た。現在、健全歯髄および炎症歯髄における象牙芽細胞のTRPチャネル発現様式の比較のため解析を進めている。
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