2016 Fiscal Year Annual Research Report
認識行動経験の個人化学習に基づくパーソナライズドロボットの文脈適応型知能身体機構
Project/Area Number |
16H01748
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 慧 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70359652)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 知能ロボット / 認識行動経験学習 / 個人化学習 / パーソナライズドロボット / ロボットシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,困っている人の気持ちに寄り添い,場面に応じて手を差し伸べる個人状況適応型の支援ロボットの知能身体技術の確立を,文脈依存型の情報推薦技術の実世界認識行動分野への展開を中心として進める.具体的な研究項目は(A)支援体験経験履歴のビッグデータの取得(嗜好データの入力),(B)コンテキストと支援評価の理解と予測の個人化学習(嗜好の予測),(C)個人文脈依存型の支援行動生成と身体拡張制御(推薦の提示),の三つの構成原理の解明になる.ここでは,支援経験履歴により文脈依存の支援サービスを提供し,その評価と経験を通じた個人化学習を進める必要があるが,行動生成とその評価経験が鶏卵の関係にあり,各要素を順次開発し最後に全体を統合するウォーターフォール方式ではなく,全体システムを構成し,各要素を段階的に深化させていくアジャイル方式を採用する. 平成28年度は移動サービスロボットによる冷蔵庫からの物品取り出しと人への受け渡し行動,双椀産業用ロボットによる棚からの物品の取り出し片付け行動,パーソナルサービスロボットによる人との対話と寄り添い行動の3種類のサービス支援ロボットのプロトタイプシステムを構築し,アジャイル型研究の基盤要素を確立した.また,リモートの分散型データべエースシステムの活用とタスク記述子の提案による認識行動経験履歴データーベースを構築しビッグデータの取得を行った. さらに,取得する物体環境情報認識法やロボットの認識行動の記述法に関しては,多種類のロボットに対応できるようにするため,ロボット間のスキル変換を念頭にした深層学習型の手法も含めて研究を行った. また,人との対話経験の蓄積に基づき個人化された対話の生成法を提案し,サービス支援ロボットを用いた実証実験を通じたユーザ評価実験により個人の嗜好性が反映されていることを検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
移動サービスロボットによる冷蔵庫からの物品取り出しと人への受け渡し行動,双椀産業用ロボットによる棚からの物品の取り出し片付け行動,パーソナルサービスロボットによる人との対話と寄り添い行動の3種類のサービス支援ロボットのプロトタイプシステムを構築することでアジャイル型の研究開発を進めるうえで幅広い基盤システムを構築し,今後の研究の基礎をしっかりと築くことができた. さらに,ビッグデータの構築や対話を通じた個人化等の研究を進め,特に物体環境情報認識に関しては,より汎用的な情報取得を目指してロボット間でスキル変換できるレベルに抽象化された情報を深層学習技術も踏まえて構築した,これは当初の計画にはなかったものであり,大いに進展していると評価している.ユーザ評価では人の関係性の研究の専門家でもある家政学分野の研究者とも連携し研究を積極的に進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は時系列の視聴覚マルチモーダル情報に基づいた個人や状況の文脈(コンテキスト)理解を導入し,その個人化学習に基づく適応支援生成に取り組む. 支援ロボットによるサービスの全履歴とその時その場で得られた場面状況の対情報からなる支援サービス経験履歴ビッグデータを蓄積可能なスケールアウト型のクラウドストレージを構築する.既に各実証実験毎にロボットの体内ストレージにデータを蓄積する方法には取り組んでおり,体内ストレージからクラウドストレージへと連続体ストレージとして構成する方法,3D視覚情報など大容量のデータの扱いと,高速で送られる身体感覚情報の対応付けをしながら蓄積する手法の確立に注力する コンテキスト理解の鍵となる,視聴覚情報のマルチモーダル時系列統合による物体環境情報認識法をに人のアクティビティ解析とおして得られた行為のイベント記述情報を統合し,さらに人が支援に対してどのように評価しているかという情報の獲得を通じて,文脈の認識理解へと拡張する. また,支援評価理解と個人化学習では,コンテキストに基づいた支援サービスの推薦選択機構を協調・内容ハイブリッドフィルタリングアルゴリズムに対して,支援体験経験の比較法に取り組む.比較は支援サービス提供時のセンサ動作情報の類似性比較と,その時の状況文脈の類似性比較の2つを時系列状態遷移モデルを用いて実施する.
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