2019 Fiscal Year Annual Research Report
認識行動経験の個人化学習に基づくパーソナライズドロボットの文脈適応型知能身体機構
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16H01748
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 慧 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (70359652)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 知能ロボット / 認識行動経験学習 / 個人化学習 / パーソナライズドロボット / ロボットシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度は異ロボット間の共有経験の個人化学習に基づく適応支援生成に取り組んだ. 具体的には前年度までに取り組んだ,ロボット経験の共有方法を展開し,同一ロボットが別の環境で行った行動に関して,視覚情報や身体感覚情報に加えて信頼度を含んだ高次の状況記述情報から,それぞれの場面に応じたロボットのサービス支援行動を生成する方法として,経験履歴の蓄積を活用したロボットの行動具現化手法の研究を実施した. これは,環境に非依存な記述としてロボットに対してタスクを抽象的に与える機能と, 抽象的なタスク記述を環境においてロボットが得た経験を基にそれぞれの環境に適した具体的なタスク記述として具体化する機能に分けて研究を進めた. 前者では,従来では固定的に与えられてきた,環境に依存した目標状態レベルのタスク記述に加えて,環境に非依存な知識を用いて抽象的に表された目標状態の記述である状況レベル記述をロボットシステムに導入し,後者では状況レベルタスク記述をロボットがタスクを行う各環境において適した形で計画・実行可能な目標状態レベルタスク記述へと具体化することで,従来の行動計画器に入力可能な記述を生成することを可能にしている.この具現化機構では,それぞれの環境に適した具体的なタスク記述へと変換するための手がかりとなる,状態記述におけるシンボルやその関係に関する制約を表す具体化演算子と変数を定義し,具体化演算子をもとに,タスクを行動計画器へ入力可能な具体的な記述へ展開していくが,その展開において経験履歴で獲得した嗜好モデル,定位置操作モデル,確率的物体配置ひずモデルを活用した. これにより,目的は同一であっても,動的な環境に依存し,タスク実行ごとに目標状態が異なる性質を持つ日常生活タスクを自律的に計画・実行可能なロボットシステムを実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はロボットが蓄積した経験や認識によって得られる知識を用いて,タスクが与えられた時に,変数を具体的なシンボルへ置換する機能を持つ具体化手法を適用することで,行動計画器に入力可能な具体的な目標状態レベルタスク記述を得る仕組みを構築した.このための実証実験として実ロボットを1ヶ月以上連続的に可動させることで長期経験を獲得し,ここから人,物品,場所の関連モデルを構築し,それを用いたタスクの具現化が可能なことを示している.この長期経験は,研究室で継続的に運用してきている計画ー認識ー行動の機能を組み込んだ日常生活支援ロボットシステム上での片付けタスクにおいて運用してきており,本研究成果が,実際の既存のロボットシステムを展開する汎用性を含めた形で,予め与えられた知識に加えて,環境に長期的にいることによって得られる経験的知識を利用し環境に適したタスクを計画・実行可能であることをで実現できることを示した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで構築してきた,身体感覚情報,環境の地図と環境中の物体,支援行動やその反応,その時その場で得られた場面状況等の支援ロボットによるサービスの経験履歴化ストレージ,状況に応じた経験履歴のコンテキスト対応型学習による適応支援システム,異環境・異ロボット間の共有経験の個人化学習システムなどの研究成果をロボットシステム上に統合し,従来研究室で示してきている,部屋の片付け,食卓準備といった様々な日常生活支援環境におけるロボットの行動の高度化という観点から,その波及効果を示していく予定である.
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