2016 Fiscal Year Annual Research Report
Enhancing the Usability of Digital Archive Resources through Multi-Faceted Linking and Aggregation across Archives
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16H01754
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉本 重雄 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (40154489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永森 光晴 筑波大学, 図書館情報メディア系, 講師 (60272209)
森嶋 厚行 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70338309)
柴山 明寛 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (80455451)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ディジタルアーカイブ / メタデータ / リソース集約 / ディジタルアーカイブの利活用性 / 利用者視点のアクセス環境構築 / 東日本大震災アーカイブ / 文化的コンテンツのアーカイブ / Metadata Aggregation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東日本大震災アーカイブを中心としてディジタルアーカイブの利活用性向上のための手法と技術に関する実証的な研究を進めた。ここでは、1)アーカイブの横断的・複合的視点からのメタデータ分析に基づくアーカイブリソースの集約作成手法の開発、(2)アーカイブリソースとコミュニティの記憶を結び付けるための技術の開発、(3)アーカイブ利活用性向上のためのコミュニティ向け支援手法の開発の3課題を研究計画の柱として研究を遂行した。 (1)に関して、震災アーカイブの主要リソースである写真資料を中心として、資料のメタデータに含まれる時空間情報を基礎とするリソース集約技術の研究を進め、時空間情報による効率的なリソース集約作成手法の開発を進めた。(2)に関しては、Linked Data技術を利用してアーカイブされたリソースとWeb上のリソースのリンキング技術の研究を進めた。これに関しては、震災アーカイブのコンテンツに加えて文化的リソースを対象として、メタデータの集約とリンキング手法に関する研究を進めた。(3)に関しては、マンガ等の一般利用者になじみやすいコンテンツとアーカイブされたコンテンツを結び付けるための技術の開発を進めた。 本研究では、上の研究に加えて、震災アーカイブに限定せずに、文化的リソースのディジタルアーカイブ、特に、ポップカルチャ等の非伝統的な文化的リソースを視野に入れて研究を進めた。ここでは、不均一なメタデータを対象とするリソース集約等のためのメタデータ技術、メタデータの長期利用技術等に関する研究を進めた。 以上の研究の成果として、雑誌論文1件、査読付き国際会議論文4件を発表し、また、国際会議口頭発表3件、国内学会口頭発表4件を行った。こうした研究成果には、海外の研究者との連携の下で行った国際会議論文2件と国際会議口頭発表1件を含んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先に述べた研究課題毎に進捗状況について述べる。 研究課題1に関しては、本研究の準備段階の成果も利用し、東日本大震災アーカイブひなぎくと連携する5アーカイブを対象としてメタデータの分析を進め、その結果として時空間情報を核とするメタデータ集約手法の開発を進めた。ここでは、アーカイブ毎のメタデータの特性を考慮した一定の集約結果を得た。さらに、マンガ他のポップカルチャコンテンツを含む文化的リソースを対象としたメタデータ集約手法の研究を進めた。メタデータ集約はEuroepanaに代表されるトップダウン的な手法があるが、本研究では、既存データセットを横断的につなぐためのボトムアップ的手法を用いており、新奇性を持つ取り組みである。 研究課題2に関しては、震災アーカイブのメタデータの主題語を利用してWeb上のリソースと結びつけるための基盤となるオントロジに関する研究を進めた。また、文化庁メディア芸術データベース等の既存データセットとWebリソースの連携手法について研究した。ここでは、個別資料を単位とする既存データセットと地域や出来事、作品といった概念的実体を単位とするWebリソースとの間をつなぐためのオントロジ、データモデルの定義を中心に開発した。 研究課題3に関しては、震災アーカイブコンテンツを利用した作品作りを主ゴールとして研究を開始したが、利用者コミュニティとの連携基盤と作品作りのための情報基盤に関する取り組みを先に進めるように方針を定めて活動を進めた。 さらに、本テーマの基盤的話題であるメタデータの長期利用に関する研究を進めた。また、国際会議の開催、DANワークショップを利用した地域コミュニティ等へのアウトリーチ、国際連携による研究活動も進めた。研究課題3ではアプローチの仕方を再考した部分もあるが、全体として、研究成果は上がっており、研究活動をおおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
震災アーカイブを中心とした研究を継続する一方、ディジタルアーカイブの利活用性向上の上で重要な要素である文化的コンテンツを視野に入れて研究を進める。ここでは、多様なコンテンツのディジタルアーカイブの複合的・横断的利活用の面から、文化的コンテンツ、特にマンガ等のポップカルチャコンテンツや無形文化財といった従来のディジタルアーカイブではあまり扱われておらず、かつ地域コミュニティや一般利用者に近しいと考えることのできる対象を含め、広い視野に基づく研究活動を進める。この方針のもとに、平成29年度は、本研究の柱としている3研究課題にそった研究活動を進める。 研究課題1に関して:(1)昨年度の時空間情報に加えて主題語分析中心の方法を組み合わせた震災アーカイブコンテンツの集約手法と、(2)非伝統的な文化的アーカイブコンテンツを中心とするボトムアップなリソース集約手法の開発を進める。 研究課題2に関して:(1)震災アーカイブのメタデータから取り出した主題を表す語を基盤とするドメインオントロジ、(2)震災以前の種々のコンテンツを含めた地域コンテンツの時間軸上でのリンキング手法、(3)既存データセットとWebリソースのリンキングによる手法に関する研究を進める。 研究課題3に関して:(1)DANワークショップ等を利用した震災アーカイブを利用した新しいコンテンツ作りのための取り組み、(2)アーカイブされたコンテンツを利用した新しいコンテンツ制作や既存コンテンツの内容付加等のための手法の開発を進める。 上の3研究課題と並行して、文化的コンテンツに関するメタデータやメタデータの長期利用性等の関連する研究活動を進める。また、昨年度進めた海外連携による取り組み、国際的なアウトリーチ活動、地域コミュニティ等と連携した活動を継続して進める。
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Research Products
(18 results)