2018 Fiscal Year Annual Research Report
未利用バイオマスからの高植物度機能性化成品創製プロセスの開発
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16H01790
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 嘉利 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (20172455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 元子 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (10580954)
高木 均 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20171423)
佐々木 千鶴 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (50452652)
渡邊 隆司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80201200)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオマス / バイオマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
低炭素・循環型社会の実現や自然環境保全のために国内外で大量に発生する未利用植物性バイオマスを原料として高活性水蒸気を用いた新規バイオマス由来化成品(電子基板材料用リグニンエポキシ樹脂、リグニン由来カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバーや生理機能性食品素材)の創製と機能性評価を行った。本年度は昨年度に引き続き、水・有機溶媒抽出残渣物(セルロース)の分離精製とセルロースナノファイバーの製造の効率化を試みた。抽出残渣物中にはセルロース以外に少量のリグニンが混在しているので、リグニン除去前後のそれぞれのセルロース試料に対してグラインダー解繊処理を行い、得られたセルロースナノファイバーの特性を比較検討した。すなわち、セルロースナノファイバーの形態変化(直径、長さ)に及ぼす水蒸気処理条件(温度、圧力、蒸煮時間や粉砕処理の有無)、グラインダー処理条件(試料濃度、回転数や処理回数)や塩素酸ナトリウムによる残存リグニン除去の有無の影響を明らかにした。さらに、PLAやPVAに得られたセルロースナノファイバーを種々の割合で添加することにより、添加割合と補強効果の関係を究明した。有機溶媒抽出物(低分子量リグニン)を用いた電子基板材料用エポキシ樹脂の製造については、植物度(バイオマス(ここではリグニン)含有率)が90%以上で、市販の電子基板材料その他成型樹脂材料が持つべき特性を満たすことを目標とした。すなわち、リグニンエポキシ樹脂硬化物(エポキシ樹脂と硬化剤の両方に低分子量リグニンを用いた硬化樹脂)の熱機械特性を測定し、電気機器の基板材料等に使用可能なレベルの特性を持つリグニン分子量や合成方法を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環境低負荷型の高活性水蒸気処理と粉砕処理を用いる前処理および水・アセトンを用いた抽出分離操作によって、未利用植物性バイオマスから下記に示す画分が得られたので、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。(1) 生理機能性食品素材(オリゴ糖やポリフェノール)を多く含む水抽出物、(2) 分子量が低いほどエポキシ樹脂原料としての成形性や反応率が高く、機能性が高いことが申請者らの既往の研究からわかっているので、重量平均分子量3,000以下の低分子量リグニンを高収率で含む有機溶媒抽出物(電子基板材料用エポキシ樹脂およびその硬化剤として使用可能)、(3) 市販セルロース(クラフトパルプ)と同程度の重合度を持つセルロースを多く含む水・有機溶媒抽出残渣物(セルロースナノファイバーの原料として使用可能)
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度であるので、得られた種々のバイオマテリアル製品の機能性を高めるための前処理、抽出方法および製造方法の最適化を行うとともに、本プロセスの有用性を物質とエネルギーのフローおよび収支の解析、環境負荷低減への寄与、得られた高植物度機能性化成品の市場価値の検討などから総合的に評価する予定である。
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Research Products
(6 results)