2016 Fiscal Year Annual Research Report
生態系機能の持続可能性:外来生物に起因する土壌環境の劣化に伴う生態系の変化
Project/Area Number |
16H01794
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
可知 直毅 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (30124340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 剛士 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主任研究員 (40554332)
川上 和人 国立研究開発法人森林総合研究所, その他部局等, 主任研究員 等 (50353652)
平舘 俊太郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, ユニット長 (60354099)
吉田 勝彦 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (70332244)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | novel ecosystem / 小笠原諸島 / 侵略的外来種 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤギによる攪乱の程度と駆除からの経過時間が異なる場所で植物の種構成を記録し、土壌をサンプリングした。また土壌流出に伴う土壌化学特性の改変が植物の成長に及ぼす影響を評価するために、土壌流出地の土壌を用いた施肥実験を実施した。その結果、土壌中の有効態リン酸量が植物の成長の主要な制限要因である可能性が示唆された。 森林における海鳥の生態系機能の回復条件を明らかにするため、外来生物の攪乱強度の異なる島の森林において海鳥の営巣分布に環境や地形が与える影響を評価した。その結果、オナガミズナギドリ鬱閉した樹林内の特にタコノキの低木林内を好んで営巣していると考えられた。また、大きな攪乱を受けた後の鳥類相の回復を明らかにするため、火山噴火による影響を受けた西之島の鳥類相変化を評価した。その結果、カツオドリ類は攪乱に対する感受性が低く、アジサシ類では感受性が高いことが示唆された。 既に整備済みであったGISプラットフォーム上に、土砂の移動を推定するパラメータとして流量方向グリッドデータを追加整備した。さらに、海鳥の営巣データ、土壌サンプリングデータ、土壌断面データ、土砂移動の観測データ、外来植物ギンネムの分布データといった現地調査データを重ね合わせ、基盤データを更新した。 小笠原諸島・媒島にて土壌調査および植物採取を行い、化学分析を行った。その結果、媒島の自然度の高い場所では海鳥が持ち込んだNの影響が非常に大きいこと、外来生物であるギンネム(マメ科植物)が侵入している場所ではギンネム由来Nの影響が大きくなりつつあることが明らかになった。 小笠原諸島媒島の生態系を再現する数理モデルを用いて、外来ヤギ、ネズミの滞在時間と連鎖絶滅の起こりやすさの関係を解析した。その結果、3000日目で外来種を駆除した時が最も連鎖絶滅が起こりにくく、その後は外来種の滞在時間が長くなるほど連鎖絶滅が起こりやすくなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査やサンプリングおよびサンプルの化学分析、栽培実験、地理情報データの整備、生態系モデルを用いたシミュレーションなど研究の主要課題についてはおおむね計画していた通り進行している。これらのいくつかはすでに学術誌や学会においても発表済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き野外調査やサンプリングおよびサンプルの化学分析、栽培実験、地理情報データの整備、生態系モデルを用いたシミュレーションなど研究を進める。得られた成果は順次学術論文に投稿し、学会において発表する。
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