2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルスケア衣環境のための光ファイバセンサを導入したウェアラブルシステム
Project/Area Number |
16H01805
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
石澤 広明 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (90345760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高寺 政行 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (10163221)
太田 信 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (20400418)
坂口 明男 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (40205729)
細谷 聡 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (40293500)
藤本 圭作 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (70242691)
鈴木 大介 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90547019)
児山 祥平 信州大学, 先鋭領域融合研究群国際ファイバー工学研究所, 助教(特定雇用) (30777818)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | FBGセンサ / バイタルサインセンシング / ウェアラブルデバイス / 脈波 / 血圧測定 / 血糖値測定 / ヘルスモニタリング / スマートテキスタイル |
Outline of Annual Research Achievements |
光ファイバのコア部分に光屈折率変化を施しフィルタ機能を持たせたセンサ部を作製し,ファイバコア内を透過する近赤外光の波長が橈骨動脈上の体表面に貼り付けられたセンサ部で受ける歪に対して変化し,この波長変位(脈波)から各種バイタルサインを計測するウェアラブルデバイスの開発を目的にしている.研究実績の概要は以下のとおりである. 任意の波長でフィルタ機能を持たせるFBGのセンサ部を作製するシステム「FBGセンサ部製造システム」の構築に成功した.さらに,作製したFBGファイバをスマートテキスタイルとして使用するために繊維製品への導入を試み,絹繊維を光ファイバに組紐技術でカバーする「カバード光ファイバ作製技術」および繊維製品への導入の際にインレイ編みを使用した「FBGセンサの繊維製品への導入技術」の開発に成功した. バイタルサイン計測開発において,FBGセンサで測定される信号のピーク間隔から脈拍数・呼吸数・ストレス検出する測定技術および解析手法を確立するとともに,脈波信号波形形状を解析することで,脈波診断・血圧・血糖値を測定する技術および解析に成功した. 血圧および血糖値が変動する際の血流変化をモデルシミュレーション実験装置で再現し,FBGセンサで測定される信号の特徴抽出および高精度に算出する解析アルゴリズムの検証を行うとともに,信州大学医学部附属病院の外来患者の脈波信号を測定し臨床現場で測定された実績の構築および脈波診断や血圧算出の被験者数の増加を行い,約100名の被験者の脈波信号を取得し解析を勧めている.ウェアラブルデバイス開発において,小型のインテロゲーターの開発を試み,約25mm四方の小型の光学系デバイスの試作に成功するとともに,体動ノイズの影響および手首以外での脈動点でのセンシングを検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FBGセンサ製造技術は,位相マスク法を採用し,露光時間,位相マスク・光ファイバ間距離,照射強度など最適条件を決定した.また,作成したFBGセンサのテキスタイルへの導入技術開発において,絹糸などで被覆する組紐法を見出すことにより,編地への導入が可能となった.このことにより,ヘルスモニタリングのウェアラブル化,特にスマートテキスタイル製造における突破口を拓いた.これらの成果に基づいた試作品の皮膚への効率的な装着に関して,衣服圧測定により,最適圧力範囲を決定している. FBGセンサのバイタルサイン検知の安定性に関する被験者実験は,通院する被験者へと拡大することができ,100名の患者のFBGによる脈波測定を行うとともに,センシングの安定性を確認した.さらに,妊娠中の被験者の協力を得て,母体と胎児の脈拍同時測定を試みるなど,本法の汎用性に関する研究開発を開始し良好な結果を得ている. FBGセンサによる血圧値,血糖値などの検知原理解明に関して,東北大学流体科学研究所(研究分担者・太田ら)との共同研究を計画通り進め,血管中の血流モデル実験を反復している.体温計測においては,熱電対テキスタイルの編地導入に加え,FBGセンサに体温測定機能を具備させるための基礎的検討を行い,温度測定感度を高めるためのセンサ部試作を行い評価実験に供している. 日常生活動作がFBGセンサ信号取得への影響について,基本的な上腕転回運動の信号への影響を精査した.また姿勢と血圧計測精度の関係についても被験者実験を反復している. ウェアラブルデバイス実現のために,FBGセンサのイントロゲータ(検波部)の小型化を目標として波長傾斜フィルタ法によって,1インチ程度まで小型化を可能とした. 以上のことから,当初の計画および目標を達成し,順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
一本のFBGセンサによってすべてのバイタルサインを同時・実時間測定する可能性が拓かれるとともに,ウェアラブルデバイス化に向けた製造技術,システム化技術が順調に蓄積されている.今後これらの技術を先鋭化,統合化し,ウェアラブル健康モニタ用センサ機能を持つスマートテキスタイルの実現を目指す.本研究の効率的な推進を図るため,信州大学内外の多様な研究機関との連携を強化するとともに,国外の先導的研究者との連携も積極的に強化する. 「小型FBGセンサシステムの開発」では,FBGセンサをウェアラブルで使用可能にするため波長傾斜フィルター方式を採用した1インチ四方サイズの小型インテロゲーターの開発を進める.また,体動ノイズの影響を検証する.「FBGセンサのテキスタイル化に向けた検証」においては,高精度かつ再現性の高いバイタルサイン測定を可能にするため,ベースとなる編物の編組織や伸縮性,ウェール数およびコース数,使用する糸の種類,カバード光ファイバーの導入時の編目数による固定圧などの詳細を検討する.また,曲げに強いプラスチック光ファイバーでのFBGセンサの構築が望まれる.そこで香港理工大のTAM教授から提供を受け,プラスチック光ファイバーFBGを使用した脈波測定が可能な環境を整備し,石英系光ファイバーFBGとのS/N比の検証を行う. 「血圧および血糖値算出アルゴリズムの実証」において,ヒトを測定した脈波信号から血圧や血糖値を算出する際にこのモデルで測定された特徴との整合性を検証し,これらのバイタルサインが算出可能なアルゴリズムの裏付けデータとしての実証を目指す.「外来患者での被験者測定」では,外来患者の脈波波形を測定し,脈波形状からの脈波診断の検証に加え,脈波のパターン分類法を開発する.
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[Presentation] 筒状編地への光ファイバーの導入2017
Author(s)
安江くるみ, 坂口明男, 岩月智也, 児山祥平, 石澤広明, 木村裕和
Organizer
繊維学会関東支部平成28年度研究交流会
Place of Presentation
東京大学弥生キャンパス(東京都文京区)
Year and Date
2017-01-10
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[Presentation] カバードFBGセンサを用いた血圧計測2016
Author(s)
大城浩輝,倉沢進太朗,千野駿,荻原知弘, 小林宥華,大岩佑輔,長谷田祐喜,安江くるみ,坂口明男, 児山祥平,石澤広明
Organizer
計測自動制御学会中部支部シンポジウム2016
Place of Presentation
信州大学繊維学部(長野県上田市)
Year and Date
2016-09-16
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