2019 Fiscal Year Annual Research Report
科学分析手法と土器使用痕観察を組み合わせた古食性と調理形態復元に関する学際的研究
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16H01824
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 佳樹 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (70413896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊夫 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 招へい教員 (10135387)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
小林 正史 北陸学院大学, 人間総合学部(社会学科), 教授 (50225538)
北野 博司 東北芸術工科大学, 芸術学部, 教授 (20326755)
山本 真也 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (50526754)
久保田 慎二 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 特任助教 (00609901)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂質分析 / バイオマーカー / 分子レベル炭素同位体組成 / 土器 / 古食性復元 / 器種分類 / 土器使用痕観察 / フードスケープ |
Outline of Annual Research Achievements |
考古学的な土器残存脂質分析に特化した,日本で初めてのバイオマーカー解析,分子レベル炭素同位体測定システムを立ち上げることに成功した。研究期間の最終年度である2019年度は,年間360試料ほどの脂質データを得ることができるようになった。 縄文弥生移行期以降,日本列島に導入された穀物であるキビを特定できる重要なバイオマーカーであるミリアシンを日本各地の遺跡から検出することができた。例えば,中部高地の弥生時代初頭に相当する水神平式併行期の土器片や弥生時代中期の清水風遺跡出土土器付着炭化物から検出された。本邦初の検出例である。 さらに,稲作根源地の長江下流域の中国浙江省田螺山遺跡(紀元前5000年-4800年)から出土した土器に対して,調理内容物の起源推定と調理形態の復元を行った。器種器形分類と土器使用痕観察の結果,出土土器を3種類に分類した。「内傾タイプ」では,「米を含む複数のデンプン質食材と陸獣,魚類などの動物質食材を組み合わせた粥状の煮炊き」,「広口タイプ」では,「陸獣,魚類などの動物質食材と植物性食材などを組み合わせたスープ状の煮込み調理」,「球胴タイプ」は,「米などの植物性食材を炊飯している」のではないかと推定した。同様に,弥生時代中期の八日市地方遺跡(石川県)出土土器では,「米を含む複数のデンプン質食材と(,C4植物である雑穀),陸獣,魚類などの動物質食材を組み合わせて炊飯している」様相を明らかにした。 以上のように,新石器時代の東アジアを特徴的づける植物性食材である米やアワ、キビ、ヒエなどの(C4植物である)雑穀等デンプン質の穀物調理に関して,器種器形分類,使用痕観察情報と土器残存脂質分析を組み合わせる学際的なアプローチにより,調理内容物と煮炊蒸炒など調理形態の復元を行う新たな研究手法を確立することができた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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